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―第11章- 千夏が4月を生き永らえる為の死神の「感激」

「整備終わったぞ」

 ドアの向こうから飛鷹の声が聞こえた。

 机に広がっていた死者の都、人口増加問題についての書類を閉じて、部屋の隅に掛けられたカレンダーを捲る。

 4月26日。

「早いな」

 扉を開けて、5人を部屋に招き入れた。


「お疲れ様な。じゃあ、確認しに行くか」

 自分達の整備に自信満々な様子で飛鷹がどかどかと先頭を歩いていく。

 整備なんて、ケチのつけようはいくらでもある。

 輪廻転生ルートを通る前はそう思っていた。

 けれど、整備されたそれを見た瞬間、ケチをつけてやろうという考えは弾け切り、無意識に賞賛の言葉が浮かんだ。

 約1か月間、自分達の生活の合間を縫って必死に整備をした努力の痕跡がびっしり残っていた。

 壁には窓拭きによって何度も拭かれた跡があり、光が差し込むたびに眩い光を反射する。

 床には塵一つなく真っ新な地面が顔を見せていた。

 老朽化の影響もあると思っていたが、私が死神に就任した時よりも綺麗に整備された姿に感動が込み上げる。

 窓の外には庭の緑が鮮やかに広がり、鳥の囀りが静かな部屋に心地よいリズムを刻む。

「ありがとな。一ノ瀬千夏に寿命をあげとくよ」

 こんな光景を目の前にして、文句なんて出るはずがなかった。

「いいのかよ」

 悪い笑みを浮かべた飛鷹に苦笑する。

「こんなに綺麗に整備されてちゃ、ケチのつけようがないからな」

 このまま、こいつらとの日常が続けばいいのに。

 死神が持つ、生者延命の権限は6カ月。

 それが叶わないことだとは知りながら、続くことを願ってしまった。


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