―第101章― 大切なものを失わない為の死神の「断行」
「ま、今の所、実害はないし、いざとなったら頼るから」
俺のその言葉に押し出されるように6人は家を抜けて、下界に戻っていった。
彼らの背中はどこか遠く、酷く雄々しく映った。
だが、俺に彼らを頼る気は毛頭なかった。
自分の犯した不正、その不始末は自分の手でケリをつける。
それがこの世界に対する最低限の筋通しだ。
そう言い聞かせなければ、心が揺らいでしまう。
もし一度でもまた彼らと手を取り合ってしまえば、「またこの混沌をどうにかしてくれるんじゃないか」って、一度捨てたはずの希望を、また醜く抱いてしまう。
それに、今回やり過ごせたとしても、この無謀な不正にはいつか終わりが来る。
最悪の場合、報いとして待っているのは6人と俺と西川の死という報復。
これ以上、火種が大きくならないうちに、幕を引く覚悟を決めた方がいい。
だが、ふと思考の隙間に弱さが顔を出す。
ただ、もし、彼らに縋ることができたなら、この擦り切れた心はどれほど楽になるだろうか。
けれど、それは彼らをもう一度、死の恐怖に追いやることに他ならず、彼らの命という重すぎるリスクが付き纏う。
己の心の平穏の為だけに、そんな代償を背負わせる訳にはいかない。
もともと、たった一人でこの50年の月日を、死神として歩んできたんだ。
終わりがたった1人であろうが、恐れる理由などどこにもない。
もう、自分の中で何を選ぶかは決まっていた。




