第八話「美那の祖母」
祖母から、手紙が来た。
『元気にしているか。星は見えているか。
一つだけ教えておく。
星が交わる時、人は必ず選択を迫られる。
逃げることもできる。
しかし逃げた者の星は、その後、暗くなる。
お前は、どうするつもりか。
——祖母より』
美那は、手紙を読んだ。
三回読んだ。
それから、窓の外を見た。
選択を迫られる。
晴琉のことを、好きだと思い始めていた。
いつからかは、分からなかった。
天窓の下で、一緒に星を見た夜からかもしれなかった。
「一人でいることに慣れた目をしている」と言った時、晴琉が見せた表情からかもしれなかった。
しかし、身分が違った。
晴琉は王爺だった。
美那は、都の小さな星読みだった。
星は、交わると言っている。
しかし、選ぶのは人間だ。
祖母も、そう言った。
夜、晴琉が来た。
「また来ました」と言った。
「いつも夜に来ますね」と美那は言った。
「昼間は、いろいろあって」と晴琉は言った。「夜の方が、静かです」
「ここが静かですか」
「あなたの傍が、静かです」と晴琉は言った。
美那は、晴琉を見た。
「一つ聞いてもいいですか」と言った。
「どうぞ」
「あなたは、何を選びたいですか」と美那は言った。「これから」
晴琉は、少しの間、美那を見た。
「あなたの傍にいることを、選びたいです」と言った。
「身分の差があります」と美那は言った。
「知っています」と晴琉は言った。「それでも、選びたい」
(第八話 了)




