第五話「予言のこと」
晴琉が、また来た。
今度は昼間だった。
正式に、星読みを頼みに来た。
「先日の続きを聞かせてください」と晴琉は言った。「あなたは、俺の未来に良いものが見えると言いました」
「言いました」と美那は言った。
「具体的に教えてもらえますか」
「具体的には、言えません」と美那は言った。「星は、そこまでは見せてくれません」
「では、何が見えるんですか」
美那は、晴琉を見た。
目を見た。
その目の奥を見た。
「あなたは、長い間、一人でいましたね」と美那は言った。
晴琉は、少し驚いた顔をした。
「なぜ分かるんですか」
「星と、あなたの目が、教えてくれます」と美那は言った。「一人でいることに、慣れた目をしています」
「慣れた、ですか」
「寂しいとは思っていない。しかし、誰かと一緒にいることを、少し忘れている」と美那は言った。「そういう目です」
晴琉は、しばらく黙っていた。
「当たっています」と、やがて言った。「皇帝の弟というのは、気を遣われすぎて、かえって孤独になります」
「そうですね」と美那は言った。
「あなたは、気を遣いませんね、俺に」と晴琉は言った。
「星読みは、正直に言わなければなりません」と美那は言った。「相手が誰であっても」
「それが、好きです」と晴琉は言った。
美那は、晴琉を見た。
「それは、私のことですか。星読みという役目のことですか」と聞いた。
晴琉は、少しの間、美那を見た。
「両方です」と言った。
(第五話 了)




