衝撃
「えーと、どこまで……あ、そっか、彼女がそうなってしまった原因は、分かっていません」
「でも」
「ええ、僕はハクトだと睨んでます。何をどうしたのか、急激なショックを受けた際、防衛本能でそうなってしまうこともあるみたいですが」
「けんくんが、ハクトだと想う理由は?」
「彼女の言う、あの人はハクトしか考えられない。現に先輩とハクトが蔵を訪れた時に、彼女が逃げるようにその場を後にしたこと」
「その日を境に、ハクトが姿を消したこと。それと、後で分かったことですが、彼女が持っていた勾玉が紛失していました」
「それも、ハクトの仕業?」
「ええ、僕はハクトが彼女に何かをしたのだと睨んでいます」
「……川勝さんはなんて?」
「この世には、凡人には理解出来ないことがある。と前置きして――」
けんくんが。
口にした川勝さんの話は。
興味を惹かれるものだった。
古代の巫女の多くは国津神に属するのだそうだ。
その血統を天皇家は代々妃として迎い入れ。
巫女の能力を血筋に取り込んだ。
ところが。
それに抗う一族もいたようで。
名を変え。
住処を変え。
命脈を保っていったと。
古代には重宝された能力も。
時代が下るにつれ。
人々の理解が薄れていき。
動物が取り憑いたとかで。
村八分にされたり。
差別の対象になることもあったようだ。
そして。
明治の世には。
通称『巫女禁止令』
なるものが発布され。
神託。
託宣。
といった。
神憑り的なことは。
戦後。
憲法が変わるまで禁止された。
ただ。
その命脈は。
日本全国で確かに息づいて残っているから面白いと。
そして。
巫女の能力は女系なのだという。
古より連綿と続く家々が。
表には出ないけど。
数あるそうだ。
例え話として。
女人禁制をひくのは。
巫女の。
要は女性の能力開花を。
恐れた為でもあるというのが。
川勝さんの見解で。
ただ。
そうした能力を。
恐れる者たちもいたのだという。
「もしかして、その恐れる者がハクト?」
「恐らく。先輩の話では、ある調査をしていた時に、知り合ったそうです」
「ある調査?」
「ああ、そこに関しては教えてくれませんでした。嘘じゃないですよ」
「疑ってないよ。けんくんのことは」
「ありがとうございます」
けんくんは。
口の端を持ち上げた。
微笑み返す私。
「じゃあ、仮にハクトが犯人だとして、彼女に秘密を知られたとして、どうして、知られたことを知ったの?」
「さすが、ゆうさん。慧眼、恐れいりました」
「へへ。ありがとう」
「当時の先輩の話だと、もしかしたら、彼女の家自体がハクトの目的だったのではないかと言ってました」
「家って、どっちの? 建物? 族として?」
「ああ、もちろん巫女の家系ということです。彼女の家は布津。布に俳優の津山勲の津ですね。布津家が狙いだった」
「あっ、それでけんくんの巫女の話にも繋がるのか」
「ハクトの目的は2つ。一つは勾玉。もう一つは……」
「え? まさか……!?」
「ええ。彼女です」




