35話「決着」
「【ブレードプロテクト】!」
その時、後ろで待機していたはずのミオがリアの前に飛び出してくると、装備していた大剣を抜いて【ジャイガンティック・スケルトン】の矛攻撃を受け止めた。
「リアさん!今のうちに体制の立て直しを!」
「ありがとうございます!」
ミオの加勢により、攻撃を間一髪喰らうことのなかったリアは、煙幕を素早くかけ直した。
「煙幕の展開を忘れないようにしつつ、【ジャンピング・クエイク】を連発しなきゃ……!」
【アイスマター】と【メテオ・ストライク】の発動チャージが完了するまで、ひたすら煙幕と【ジャンピング・クエイク】を交互に発動させていく。
そうすることで攻撃を完全に回避しつつ、少しずつではあるが【ジャイガンティック・スケルトン】のHPを削っていく。
【ジャイガンティック・スケルトン】も自らの特技である【ライトニング・チェイン】を発動させるが、土煙を含んだ煙幕を前に弾けて無効化する。
さらに続けて【メテオ・ストライク】も発動させてくるが――。
「落ち着いて見れば大丈夫!」
素早く着弾点を見抜き、距離を取って凄まじい威力【メテオ・ストライク】を回避した。
着弾した際に発生する爆風で煙幕が払われるが、怯むことなく素早く煙幕をかけ直し、状況復帰を行っていく。
「よし!チャージが完了した!」
そしてここで今回の攻撃の要である【アイスマター】、【メテオ・ストライク】、【ダークラッシュ】の発動チャージが完了する。
「いっけぇ!」
煙幕の展開だけに注意しながら、順番に【アイスマター】→【ダークラッシュ】→【メテオ・ストライク】と発動させていく。
そしてここでようやく、【ジャイガンティック・スケルトン】のHPバーが7分の1ほど削れてきた。
「ようやく7分の1か……。長い戦いになるけど、今までの流れさえ間違えなければ、倒せるっ」
落ち着いて先ほどまでの煙幕→【ジャンピング・クエイク】→煙幕という戦術を繰り返す。
戦い方としては地味極まりないが、確実に僅かながらに少しずつ【ジャイガンティック・スケルトン】のHPを削っていく。
そして、発動チャージが完了するとダメージの大きい3つの特技をすぐさま発動させ、大きなダメージを与えていく。
そんな激しいリアと【ジャイガンティック・スケルトン】の激闘を、ミオやアミ、アスハを含んだ様々なプレイヤーが固唾を飲んで見守っていた。
戦い始めてから20分以上が経過しようとしたところで、ようやく【ジャイガンティック・スケルトン】のHPバーが尽きかけるところまでやってきた。
「はっ! 倒し切る前に盗まないと……!」
基本的に【ジャンピング・クエイク】の衝撃波による間接攻撃を繰り返していたため、盗むためには更に【ジャイガンティック・スケルトン】へ接近する必要があった。
煙幕を連発しながら素早く接近し、慣れた動きで盗む体勢に入る。
「ここっ!」
あまりにも大きい【ジャイガンティック・スケルトン】の巨体から、それに見合わぬ小さな布袋を盗み取った。
「よしっ、取れた!」
そしてここで、再び攻撃の要である3つの特技のチャージが完了する。
「これでトドメだ! 【アイスマター】!!!」
煙幕の中で巨大な氷塊を2つ展開させると、そのまま勢いよく【ジャイガンティック・スケルトン】に向けて飛ばした。
すると、【ジャイガンティック・スケルトン】のHPバーは完全に0となり、氷塊がぶつかった瞬間、骸骨の巨体が吹き飛んでいった。
そして【ジャイガンティック・スケルトン】が立っていた場所には、宝箱が落ちていた。
「た、倒せたぁ〜〜……」
あまりにも長い戦いに疲れ切ったリアは、その場にへたり込んでしまった。
「リアさん、やりましたね!」
「リア、やったじゃん!本当に倒しちゃった!」
「す、すごすぎます〜!」
傍で見守っていた3人が、リアのもとに駆け寄ってきた。
「ミオさんのフォローがないとやばかったです……ありがとうございました」
「いえいえ、お力になれてよかったです! こちらこそ、こんな場面に立ち会わせていただき、ありがとうございます」
「途中から戦い方が明らかに安定したね。煙幕と地団駄?みたいなので少しずつだけど攻略していったね」
「うん。あれはベヒーモスの特技で、他の特技と違って連発出来たんだ」
「あとの特技は連発できないのですか?」
「うん。チャージ時間があって、今回の長期戦でわかったけど、今持ってる特技は発動させるまでのチャージ時間として2分必要なことが分かった」
今回の戦闘で、チャージ時間がどれくらい必要なのかも理解することが出来た。
今後はチャージ時間が必要かどうかも、特技習得時の取捨選択の要素になってきそうだなとリアは感じていた。
「しっかし、いくらこのレベルのソロで倒す用の敵じゃないとはいえ、20分以上もかかるんだねぇ」
「そうですね……。私もガードしましたけど、半分くらい体力削られましたね。ノーガードなら、一発耐えられるか耐えられないかぐらいの威力があるものだと思われます」
「そのダメージ量なら、少なくともまだまだ倒すことは想定されてなさそうだね。流石の上位ランカーがパーティー組んだところで、どうにもなる相手じゃないでしょ」
「そ、そんな敵を倒しちゃったんですね!」
「ちなみにざっとあいつの体力、自分の特技から簡単に計算できるけど、【アイスマター】1回で900ダメージくらいは出してるはず。あと2つの特技で800ダメージ。合わせて1700ダメージそれを少なくとも10回は繰り返したから……」
リアは指を折りながら計算をしていく。
「それにとにかく連発した【ジャンピング・クエイク】のダメージも考えたら25000〜30000くらいは体力あると思って良いんじゃないかな?」
「……絶対に倒せませんね。私が普通に攻撃して果たして何ダメージ出るのか……。しかもそんなHPの多さときたら、改めてリアさんがやったことが異次元だと言うことがわかりますね」
そんな話をしながら、リアは盗み取った小さな布袋を開いた。
そこには刻印と宝石のはめ込まれた金色の指輪が入っていた。




