34話「連発可能な特技」
狙いを定めて向かってくる【ジャイガンティック・スケルトン】がリアの元に到達するまでの間にすかさず追撃の手を加える。
「いっけぇ!【メテオ・ストライク】!」
木のナイフの先を【ジャイガンティック・スケルトン】に向けて、巨大な隕石を落とした。
本来ならば、自分自身が繰り出すはずの隕石落としの攻撃を喰らって激しくよろめいた。
「流石にこの特技二つで倒れるほど、弱いわけが無いよね……!」
体制を立て直した【ジャイガンティック・スケルトン】は、リアの元に到達すると、持っていた巨大な矛を振り下ろしてきた。
「ちゃんと【ガラスの殺陣】発動してよねっ……!」
予め展開しておいた【ガラスの殺陣】が【ジャイガンティック・スケルトン】の矛攻撃を受け止めて、パリーンというガラスの崩壊音とともに、破片が飛び散った。
「動きを止めろっ!」
飛び散った破片が【ジャイガンティック・スケルトン】に向かって飛んでいき、そのまま色んな部分に突き刺さった。
すると、【ジャイガンティック・スケルトン】は片膝を着いて動かなくなった。
「よし! ユニークモンスターの特技は同じユニークモンスターにも有効なんだね!」
【ガラスの殺陣】の効果で相手が怯んでいる間も、攻撃を加え続けなければならない。
「お次はこれだ! いっけぇ、【ダークラッシュ】!」
ベヒーモスが角に毒の魔力を溜め込んでそのまま突進してくる物理特技。
固定ダメージが【メテオ・ストライク】と左程変わらないほどの威力を持つため、早めに繰り出したかった技である。
「んんっ、おでこの前に紫色の球体が出来てきた……。これで頭突きすればいいのかな? ……そりゃぁっ!」
煙幕の中から勢いよく飛び出し、額に集まった紫色の球体を片膝をついて動けなくなった【ジャイガンティック・スケルトン】にぶつけた。
ドーンと激しい音とともに、額に集まっていた紫色の球体がさく裂し、【ジャイガンティック・スケルトン】が再び激しくのけぞった。
そして、毒状態にしたことを表すエフェクトが【ジャイガンティック・スケルトン】に現れた。
しかし、この攻撃特技3つを1回ずつ攻撃しただけでは、倒れる様子は全くない。
すると、【ジャイガンティック・スケルトン】は【ガラスの殺陣】の効果から復帰し、ゆっくりと立ち上がった。
そして、大きく矛を振りかぶって【イリュージョン・カウンター】によるリアの分身に攻撃を仕掛けた。
するとリアの分身は攻撃を受けてフッと消えると同時に爆発し、再び【ジャイガンティック・スケルトン】にダメージを与えた。
「分身がある間は、煙幕の外に出て攻撃を仕掛けていくか……! いっけぇ、【ライトニング・チェイン】!」
分身による爆発ダメージを与えつつ、煙幕内ではおそらく使用不可の【ライトニング・チェイン】を【ジャイガンティック・スケルトン】に喰らわせた。
青い稲妻が地を走り、本来の使い手である【ジャイガンティック・スケルトン】に襲い掛かる。
使い手とはいえ【メテオ・ストライク】同様に、攻撃として喰らった場合は、ダメージとして入るようだ。
【ライトニング・チェイン】を発動させた後、リアはすかさず煙幕の中に入り込んで、攻撃の回避体制を整える。
その間に【ジャイガンティック・スケルトン】は分身二体目に攻撃を仕掛けて、爆発ダメージを喰らう。
「果たして、【アイスマター】と【メテオ・ストライク】のチャージ時間がどれくらいなのか……」
今まで二回以上繰り出す場面に遭遇していないリアは、二回目を発動させるためにどれだけ時間がかかるのか、全く把握できていない。
この敵を倒すためには、ダメージ量の多い特技二つをいかに発動出来るかが鍵を握っているというのは分かっていた。
しかし、今のところは発動出来そうな雰囲気は全くなかった。
そんなリアが今出来ることは、ひたすら煙幕を張りながら回避行動に専念することだった。
「とりあえず煙幕を切らさないようにしなきゃ……!」
【ジャイガンティック・スケルトン】の矛攻撃は、煙幕を含めた状態なら、回避あるいは勝手に外してくれていた。
しかし、依然として攻撃特技を使ったリアは、煙幕を張ること以外に何も出来ないまま、バトルが続いていた。
「くぅぅ、何かいい手段はないのか……」
そんな時だった。
リアはある特技を発動し忘れていた事に気がついた。
「そうだ!まだ攻撃系の特技残ってた! ベヒーモスとの戦闘で覚えたあの技……!」
それは、ベヒーモスの【ダークラッシュ】取得を狙う中で、習得した技。
「無いよりはマシ!【ジャンピング・クエイク】!」
リアがじだんだを踏むと、地響きが起きて【ジャイガンティック・スケルトン】に襲い掛かった。
しかし、そこまで大きなダメージでもない為に、すぐに体制を立て直して襲い掛かってくる。
「くぅ、このままじゃジリ貧になっちゃう……!チャージ早く終わってくれ……!」
そう思いながらリアは、特技コマンドを見た。
「あ、あれっ?」
そこで、リアはあることに気がついた。
先ほど発動させた【ジャンピング・クエイク】が既に発動可能になっているのだ。
「この技、確か……!」
ベヒーモスとの戦闘の時に、何度も繰り返し発動され、【ダークラッシュ】取得に苦戦したことを思い出した。
あの繰り返し発動していたのは、チャージ時間が必要ないからということが、ここで繋がった。
「そうとなれば、他の技が発動出来るまで連発しちゃえ! 【ジャンピング・クエイク】!」
リアはヤケになった子供のように、ひたすらじだんだを踏み続け、連続で何度も【ジャンピング・クエイク】を発動した。
すると、【ジャイガンティック・スケルトン】は地響きに怯みつつ、何度もダメージを受ける。
「このまま、このまま……!」
しかし、ここでリアはあるミスを犯していた。
それは【ジャンピング・クエイク】に必死になりすぎて、煙幕をかけ直しを忘れてしまっていた。
少しずつ煙幕が薄くなり、【ジャイガンティック・スケルトン】の姿がはっきりと分かり始める頃、ようやく気がついた。
「しまった!煙幕のかけ忘れ……」
煙幕が晴れたことで、【ジャイガンティック・スケルトン】の攻撃が的確にリアを襲おうとした時だった。
リアの装備している塵雪シリーズの装備が煌めき、【ジャイガンティック・スケルトン】の動きを一瞬だけ怯ませた。
そのおかげで、リアは間一髪で攻撃を回避することに成功する。
「煙幕をかけなおしたいけど……!かけ終わるまでに次の攻撃が来ちゃう!」
煙幕を張り直すが、完璧になるまでに【ジャイガンティック・スケルトン】の的確な矛攻撃が、リアを襲う――。




