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第6章 アルサトラ (4)
老人は寂しげな笑みを浮かべ、テーブルの上のスマートフォンを指差しました。
「氾濫する情報の中で利己主義にまみれてしまった人間は、自分こそが唯一の正義だと信じ込み、自身が誤った方向へ導かれていることに気づかないだろう。そして画面の向こうにいる見知らぬ誰かを、正義の名において叩き潰し、傷つける」
「最近よく見かける光景です」
「アルサトラの狙いは、すべての人間を、出口のない闘争の渦へと巻き込むこと。互いに憎しみ合い傷つけ合うだけの世界、すなわちサタンの統治する地獄へと導くことなのだ」
記者は言葉を失いました。ただ、これが決しておとぎ話ではないという実感はまだ薄いようでした。
「ということは……我々は地獄へと続く舗装路を、自らの足で歩み始めていると考えればいいのでしょうか?」
その問いに、老人は確信を持った表情で頷きました。




