第5章 シンディ (3)
アリス死去のニュースを、アルサトラは全く別の場所で聞いていました。
古い魔法と新しい文化が混ざり合うその国では、王室の儀式は今もなお神秘的な力を帯びており、国民にとって特別な意味を持っていました。
その時、エルフ族の伝承が残る西の島国では、おとぎ話のような祭典が行われている最中でした。
かつて七つの海を支配した伝統ある王室の結婚式。その様子を、世界中のテレビカメラが、そしてそのレンズの奥からアルサトラが、じっと見つめていたのでした。
王太子妃として迎えられた女性の名は【シンディ】。
厳かな聖堂の鐘の音が響き渡り、何百万人もの人々がテレビの前でその光景を、心から祝福していました。
新郎である皇太子に迎えられて馬車から降り、彼女が恥ずかしげに微笑んだ瞬間に、全世界が魅了されたと語り継がれているほどです。
純白のドレスに身を包んだ彼女の姿は、まるで名画から抜け出してきたかのように美しく、人々はこの挙式を奇跡のロイヤルウェディングと呼んで、惜しみない称賛を送ったのでした。
奇跡と呼ばれたのには、もちろん理由があります。
彼女が、誰もが息を呑むほどの類稀なる美貌と気品を備えていたことに加え、由緒ある貴族の出などではなく、保育士として働いていた平民出身であったことが、ドラマとして人々の心を沸かせたのです。
絹のウェディングドレスの裾を引き、祭壇へと歩む彼女の姿は、アリスの冷たい威厳とも、ラルフの狂気的なカリスマとも違う、純粋な華そのものだったのでした。




