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第3章 エディ (6)

挿絵(By みてみん)

 

 エディの死後、世界中の新聞やテレビには“呪われた一族”という戦慄的な見出しが躍っていました。


 ジョージはその言葉を見るたびに、胸の奥から込み上げてくる後悔の涙を抑えることができませんでした。



 首都の喧騒を離れた閑静な別荘で、ジョージは呆然とテレビ画面を見つめていました。


 映し出されるのは、夫の棺に寄り添う未亡人の姿、そしてまだ幼いエディの息子が敬礼を捧げる姿です。


 世界中が涙したその悲劇の映像は、皮肉にもこの家族にまつわる話を、恒久的な神話へと変えてしまったのでした。


 ジョージにとって、それは地獄でしかありません。長男は先の大戦で命を落とし、次男のエディは暗殺されました。さらに数年後には、大統領を目指した三男までもが凶弾に倒れることになるのです。


「私が……私はどこで読み違えたのか……」


 ジョージは呟き、老いた体を震わせました。


 末代までの繁栄を願ったはずが、手に入れてしまったのは、結局のところ悲劇の一族という不名誉な名声だったのです。



 ジョージは豪奢な屋敷の一室で、アルサトラが口にした契約の代償について、思い出していました。


 代償とは、血筋に宿る運命そのもの。繁栄と引き換えに、悲劇が連鎖する宿命を背負うというものだったようです。


「私は……何ということをしてしまったのだ……」


 ジョージは呟き、両の手を強く握りしめました。しかし、その時にはすでにアルサトラの気配は彼の傍らにはありません。かつては耳元で囁くように存在を示していたその魔力は、今や跡形もなく消え去っていたのです。


 アルサトラは契約を果たし、代償を受け取り、そして去った。ただそれだけだったのでした。


 残されたのは深い悔恨と、呪われた一族という烙印だけ。ジョージは窓の外に広がる夜空を見上げました。


 そこには、かつてエディが夢見た自由の象徴である星々が輝いていましたが、その光は彼にとってあまりにも遠く、冷たく感じられたのでした。


 こうして、ジョージの野望とアルサトラの契約がもたらした悲劇は、一族の歴史に深い影を落とし、世界の魔力の流れにも大きな歪みを残すこととなったのでした。

 

 

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