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前世社畜の俺、スローライフを望んだのに気づけばステータスだけが勝手にカンストしてる件  作者: ローナ


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何もしてないのに、なぜか村の外から人が来ました

 朝。


 起きている。


 動く予定はない。


 布団の上で目を閉じていると、外のざわつきがやけに大きい気がする。


 ……気のせいであってほしい。


「ユウトー!起きてるー!?」


「寝てる」


「今日は本当に起きて!」


 ドアが開く。ミリアだ。声のテンションがいつもより高い。


 嫌な予感しかしない。


「人が来てるの!」


「来てない」


「来てるの!」


 既視感のあるやり取りだが、今回は空気が違う。


「お兄ちゃん、知らない人いっぱいだよー」


「見ない」


 ルナが楽しそうに報告してくる。見ない。絶対に見ない。


「ユウト、状況を理解しなさい」


「しない」


 セリスが腕を組む。


「噂が広がったのよ」


「やめて」


 最悪だ。


「“動かずに魔物を倒す少年”って」


「違う」


「“料理で人を感動させる少年”って」


「違う」


「“何もしない最強”って」


「やめて」


 全部違うのに、全部それっぽい。


【誤解誘導が発動しました】


「もう遅いわね」


「遅くない」


 逃げたい。


 だが、逃げ場がない。


「師匠!外に出ましょう!」


「出ない」


 リィナまで来た。


 完全に囲まれている。


「一回だけでいいから!」


「一回が重い」


 だがそのとき。


【生活最適化:状況把握が推奨されます】


「……仕方ない」


 立ち上がる。


 今日は流れが悪い。


 外。


 広場には、見慣れない人たちが集まっていた。


 服装が違う。装備も違う。


 明らかに“外の人間”だ。


「……多い」


 ざっと見て十人以上。


 なぜこんなにいる。


「いたぞ!」


 一人の男がこちらに気づく。


 次の瞬間、全員の視線が集まった。


「……帰る」


「ダメ!」


 逃げる前に囲まれた。


「君がユウトくんか!」


「違う」


「いや絶対そうだろ!」


「違う可能性はある」


 無駄な抵抗。


「俺たちは冒険者だ!」


「そう」


「噂を聞いて来た!」


「来なくていい」


 なぜ来た。


「本当に動かずに倒したのか!?」


「倒してない」


「見せてくれ!」


「見せない」


 会話が成立していない。


 そのとき。


 一人の女性が前に出た。


 落ち着いた雰囲気。たぶんリーダーだ。


「落ち着きなさい」


 周囲が静かになる。


「私はカレン。話を聞きに来ただけよ」


「聞かなくていい」


 だがカレンは微笑んだ。


「警戒しなくていいわ」


「してない」


 している。


「ただ、確認したいの」


「しない」


 ダメだ、全部否定してしまう。


「……簡単でいいわ」


 カレンが指さす。


 少し離れた場所。


 小さな魔物が一匹、うろうろしていた。


「やめて」


 流れが見える。


「一度だけでいい」


「よくない」


 だが、体が先に反応した。


【自動最適化:危険排除】


「だからやめろって」


 風が通る。


 ただそれだけ。


 魔物は、ぴたりと止まり――そのまま倒れた。


 静寂。


「……」


「……」


「……」


 全員が固まっている。


「知らない」


 俺は先に言った。


「今の、見たか……?」


「動いてないぞ……」


「詠唱もなし……?」


【誤解誘導が発動しました】


「……やっぱり」


 カレンが小さく息を吐く。


「本物ね」


「違う」


 終わった。


「すごい……」


「信じられない……」


「なんだあれ……」


 ざわめきが広がる。


 止まらない。


「帰る」


 俺はそのまま踵を返した。


「待ってくれ!」


「帰る」


 誰が何を言おうと関係ない。


 家に戻る。


 布団に倒れる。


「……疲れた」


 本当に何もしてないのに、なぜこんなに疲れるのか。


「ユウト、これどうするの?」


 ミリアが苦笑する。


「どうもしない」


 それしかない。


「でも、たぶんまた来るわよ」


 セリスが言う。


「来なくていい」


 来る気がする。


 すごくする。


「師匠、人気者ですね!」


「違う」


 違うのに、増えていく。


【省エネ成長:上昇】


「まあいい」


 どうせ、何もしなくても勝手に進む。


「寝る」


 それが一番、効率がいい。

【次回:なぜか街に呼ばれますが、行きたくありません】

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