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前世社畜の俺、スローライフを望んだのに気づけばステータスだけが勝手にカンストしてる件  作者: ローナ


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国外から来訪者が増えましたが、言葉が通じないのに話が通じています

 朝。


 起きている。


 目は閉じている。


 これは寝ている。


【省エネ成長:安定上昇】


「完璧」


 外の音が、少し変わった。


 量ではない。


 “種類”が増えている。


 聞き慣れない発音。


 言葉の区切りが違う。


 抑揚も違う。


「……増えた」


 目は閉じたまま、呟く。


 足音が近づく。


「ユウトー!」


「いない」


 ドアが開く。


 ミリアだ。


「すごいことになってる!」


「なってない」


 否定から入る。


「外国の人いっぱい!」


「減らして」


 無理だろう。


 セリスが続く。


「昨日の夜から一気に増えたわ」


「増やさないで」


 やめてほしい。


「お兄ちゃん、言葉ちがうよー!」


「聞かない」


 ルナが楽しそうだ。


「師匠、ついに世界が……!」


「違う」


 リィナは今日も震えている。


 だが。


【生活最適化:外部確認を推奨】


「……一瞬」


 また負けた。


 外へ。


「……多い」


 明らかに増えている。


 服装が違う。


 色が違う。


 装飾が違う。


 そして――


「言葉が違う」


 あちこちで会話が飛び交っている。


「……聞き取れない」


 ミリアが肩をすくめる。


「全然わかんないね」


 セリスが周囲を見る。


「でも揉めてない」


 確かに。


 会話は成立しているように見える。


「なんで」


 疑問。


 そのとき。


「――」


 知らない言葉で、誰かがこちらに話しかけてくる。


「……知らない」


 当然だ。


 だが。


 なぜか、その人は頷いた。


「……?」


「今、通じた?」


 ミリアが目を丸くする。


「通じてない」


 はずだ。


 だが相手は満足そうだ。


【無意識スキル発動:意思疎通最適化】


 空気が、少しだけ整う。


「……あ」


 セリスが小さく声を漏らす。


「意味じゃなくて、“意図”が伝わってる」


「伝えてない」


 だが。


 別の場所でも同じことが起きている。


「――!」


「――……!」


 違う言語同士。


 なのに、通じている。


「すごい……」


 ルナが目を輝かせる。


「お兄ちゃん、翻訳してる!」


「してない」


 だが。


 空気が整うほどに、会話がスムーズになる。


 争いも起きない。


【誤解誘導が発動しました】


「“無為王”の加護だ……」


「言葉を超えている……!」


「やめて」


 やめてほしい。


 そのとき。


「Excuse me.」


 はっきりした声。


 振り向くと、一人の女性。


 長い黒髪。


 少し鋭い目。


 だが落ち着いている。


「……?」


 彼女は少し考えてから、ゆっくり話す。


「私は……通訳」


「いらない」


 即答。


「必要」


 強く返された。


「言葉、ズレてる」


 それはそうだ。


「でも通じてる」


 矛盾している。


「完全じゃない」


 彼女は一歩近づく。


「誤解、多い」


「知ってる」


 それは知っている。


「だから、補正する」


 やめてほしい。


「私はナギ」


 新しい名前。


「王都から来た」


 また増えた。


「通訳兼、観察」


「観察しない」


 だがナギは冷静だ。


「すでに観察されてる」


「やめて」


 正論が刺さる。


 ナギが周囲を見渡す。


「面白い現象」


「面白くない」


「言葉じゃないところで繋がってる」


 その通りだが、認めたくない。


「これ、世界規模で広がる」


「広げないで」


 だがもう広がっている。


 そのとき。


「――!」


 外国の少年が、石の前で手を合わせる。


 あの石。


 例の石。


「……やめて」


 さらに人が集まる。


「Holy……」


「Sacred……」


 知らない単語。


 だが意味は、なんとなくわかる。


「やめて」


 完全に共通認識になっている。


 ナギが小さく呟く。


「象徴、言語いらない」


 やめてほしい分析。


 ミリアが笑う。


「もう世界共通だね」


「違う」


 セリスも頷く。


「言葉を超えた時点で、止まらない」


 やめてほしい。


 ルナは楽しそう。


「お兄ちゃん、すごーい!」


「違う」


 リィナは震えている。


「師匠……世界……!」


「違う」


 ナギがこちらを見る。


「あなた、何もしてない?」


「してない」


 即答。


 だが。


 風が、少しだけ整う。


【誤解誘導が発動しました】


「……なるほど」


 また納得された。


「やめて」


 やめてほしい。


「理解した」


 していない。


 ナギは軽く頷く。


「通訳、続ける」


「しないで」


 だがもう決まっている。


 人が増える。


 言葉が増える。


 だが争いはない。


「……帰る」


 限界。


 家へ。


 布団へ。


「……疲れた」


 本当に何もしていないのに。


「ユウト、どうするのこれ」


 ミリアが笑う。


「どうもしない」


 それしかない。


 セリスが静かに言う。


「言語を超えた時点で、文化になる」


 やめてほしい。


 ルナは元気だ。


「お兄ちゃんの世界!」


「違う」


 リィナは涙目だ。


「師匠……全域……!」


「違う」


【省エネ成長:大幅上昇】


「いいね」


 何もしないほど、全部進む。


「寝る」


 目を閉じる。


 外では、いろんな言葉が飛び交っている。


 だが不思議と――


 全部、静かに繋がっている。


「……知らない」

【次回:なぜか“国同士の会談”がここで始まりますが、関係ありません】

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