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天狗 ~神眠る森~  作者: 東雲 景惚
怒涛邁進
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99/100

青天の霹靂〜火中の栗④〜

 結城の王太子の側近朔明通称サクは、鬢胡にも付いて来ている。影でぼんくらと呼ばれることも噂から盾となり王太子を守り、王太子が名付けた名のごとく行き先を明るく照らそうと必死に動いてきた。鬢胡でのこの人質のような生活も本意ではなく何故末姫が連れ去られたあと、結城に戻らなかったのかと悔やまれてならない。あの時、足のすくんだ王太子を担いででも連れて帰れば…。

 思いの外元気に過ごす王太子に拍子抜けの毎日である。

 そして、ガゼボ仲間から聞いてくる色々な情報を王太子から又聞きで教えてもらい頭を抱えているのである。


皇帝は最初から仲姫を所望していたということか…。


そうなってくると、この反乱軍も疑わしいとすら思えてくる。仲姫を誘き出すための罠なのか。

末姫との結婚に熱を入れていたのは、皇后に仲姫を望んだからなのか…。


何の情報も与えられず、何を信じていいか分からない状況で、毒の混じっていない食事が出されることは有難いとしかいいようがない。

ここにきてサクは驚いたことがある。一つ目は、王太子が一人で帰国の交渉に皇帝のところへ行ったことである。いかに涼しい顔をしていても、小心者でサクに指示を仰ぐことばかりであったのに、さすがにこのタイミングは逃せないと思ったのだろう。結局交渉は決裂したが、ナイスファイトと言いたいくらいだ。

二つ目は、ガゼボ友達である。天上人のようにつかみどころのない王太子を崇める人は多い。しかし面白みがないのか仲良くというものにはなりづらい。なので、婚約者選びも決まらなかったのにはそういう理由があるのだと口にはしないものの内心思っていた。しかし、鬢胡の公主と仲良くしているという状況と、しかも「ミツ様」などと呼ばせていることにこれが現実か目を疑った。

「ミツ様」なんて、王太子妃ですら呼んでない。幼い頃は王后陛下が、「あまみつ」と呼んでいたが…。いくら真名を呼ばせるのに憚られたからといってその愛称を持ち出すとは。公主が特別だと言われていると勘違いしてしまうのではと危惧していた。

 そうこうしている間に、サクの不安の一つを吹き飛ばす事件が起きた。

 鬢胡は末姫を狙ったとされる賊を誘き寄せるため聖域である寝宮の森を爆発で崩したのだ。 

 被害は著しく地響きがなった。

その時、王太子がセレーナと一緒にいてこの地響きにサクが駆けつけたのだ。

セレーナは怖がっているのかと思ったが、

「お兄様は、賊を成敗するおつもりなのよ。」

という、言葉に諦めようなものを感じた。


つまり、皇太子は結婚するはずだった末姫を攫った賊が許せないということ。これは、意図せずに末姫は攫われたと思っていいということかもしれないと、サクは変な安堵感に陥った。

 皇太子が知らなかっただけで、皇帝が後ろで糸を引いていることもあるのかもしれないと気を引き締めた。

 爆発のせいで鳥がけたたましく鳴いて何百羽も飛んでいて空が真っ黒である。

 とんでもないかけだが、ここで仕掛けないと結城の一行の運命が進まないと思ったサクは、王太子にある奇策を提案することにしたのだった。

 驚いた王太子だったが、そこに王太子から更にサクを驚かせる策を立てるのだった。

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