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天狗 ~神眠る森~  作者: 東雲 景惚
使徒の目覚め
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黎明の始まり〜楽土求めたり②〜

 次に心配なことといえば、何と言って公爵家から移るのかということだ。静養にしたって普通は公爵家の領地でするものだ。なんの理由もなければ、娘のように可愛がってくれた公爵夫人が納得しない。嫌われるわけにはいかないのだ。


 そこでおセンが考えたのは、思い切っておセンこと仲姫の名前を出すことだ。小公爵夫婦が仲姫ととても仲が良かったことは、公爵閣下も夫人も知っていることだ。結婚から三年経っても子ができず、知らぬうちに気が滅入るようになった三姫を、手紙のやりとりをしていた仲姫が心配してたまには竜見城に静養に来るように…。と彪比古に必死の思いで伝えたということにしたのだ。竜見城は王家直轄地であるため、納得してくれるはずだ。


 この案を聞いた三姫はノリノリで、時々公爵夫人の前で物思いにふける様子を見せたり、深い溜息をわざわざ聞こえるようについたりしてから、打ち明けることにした。

 彪比古からこの話を聞いた公爵夫人は、



「やはり目に見えない圧を私がかけていたのかしら…。このところ突然溜息をつくようになって。今まで我慢していたのね。」

と、泣いてしまった。


 母を泣かせたことに罪悪感を感じだ彪比古だったが、夢の実現のためには致し方のない犠牲である。と自分に言い聞かせた。


 二人が、竜見に来る頻度についても話をした。いくらおセンと一緒にいたいと言っても、曲がりなりにも小公爵夫婦という肩書きがあるので、365日竜見にいるわけには行かない。


 やはり彪比古は仕事の合間を縫ってくることになる。田舎暮らしをしたことのない三姫も、ずっと滞在するのではなく、まずは月の半分から慣らしていくことにしたいと三姫は希望した。しかし、移動にかかる日数が一週間として、2週間滞在すると、月に一週間しか公爵家にいないことになる…。それは流石にどうであろうかということになり、おセンは悩んだ結果、3週間の滞在を三姫はして、次の一ヶ月は公爵家で過ごすことを提案した。そうすればリフレッシュと言い訳している分、公爵夫人も疑わないと思ったからだ。来る頻度が減ることにはがっかりしたようだが、それでも3週間と長いこと滞在できることは納得したようだった。公爵夫人の仕事のお手伝いをしている手前、これから何もしないというのも流石に気が引ける。これで公爵夫人が納得してくれればということになった。


 彪比古から提案をしたが、公爵夫人はそんなに行く必要があるのか驚き…。そんなに行ったり来たりするのは、逆にストレスになるのでは?と彪比古は叱られてしまい、3ヶ月に一度…ということに押し切られてしまった。これには三姫はショックを受けていたが、体調を崩した…などといえば滞在期間が延びるのではないかと安直に考えているようだった。


 2人が滞在する家は、彪比古が滞在を考えていた単身用の家は勿論諦めた。二人の寝室は兄妹なので分けたいため、村長に相談すると、村の奥にある5年前まで老夫婦が住んでいた家を紹介された。娘の嫁ぎ先の近くに移ることとなり、村長に後を委ねていったという。白い屋根で外観も可愛らしく、入居まで来ることのできない三姫もおそらく気に入るものだった。リビングと部屋が3部屋あり三姫は幼い頃よりお世話をしてくれている小雀を伴として連れてくるだけの予定なので十分だった。地域の青年団がそれなりに管理はしてくれているようだったが草などの処理は来てからやればよい…おセンの家からは少し離れるがまぁ仕方のないことだと、買うことを即決したがおセンに裕福であると言っているようなものだとたしなめられて、ゆくゆくは購入したい…ということで話をまとめたのだった。










 

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