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城をつなぐ国~泡沫の楽土②~

 それから更に2日たった。何とか通れるくらいには復旧したかもしれない。愛馬チユと彪比古なら難なく通ることもできたかもしれない。宿屋の食堂で、カズが

 

 そろそろ出立するのか


と訪ねてきた。本山に勤める、ましてや視察団の一人としてここに来ている身の上としては、出立するという選択肢を選ぶべきである。きっとカズもせっかく仲良くなった男はそろそろいなくなるのだろうという第三者的意見として思ったに違いない。他者に出立を促されたようなものだのだから、行くといわなくてはならないことくらいわかっていた。行くと伝えようとしたとき、ここにいる理由が視界に入ってきた。


 商人たちの安全を確保するには、もう少し時間がかかる。竜見の城に直訴して本山に増員を願い出ているから、見届けようと思う。


 彪比古が宿に滞在している間、ともに足止めをくらっていた商人達が目に入ったのだ。

そうだ、彼らの手助けをして開けなければならない。既に復旧作業が始まって4日たっているのにもかかわらず、ここでさも他者を気にかけていたような発言は、本来の彪比古には、あり得ない。この宿に足止めをされたとき、旅の商人たちは自分よりも身動きが取れず大変だろうと思ったし、ほかの村を見に行った時だって、この足場の悪さを更に動員してもらえるようにしなくてはと考えていたのは事実だ。おセン様に会っていなければ、すぐにでも旅の商人たちのために動いていただろうが、念願叶った今浮かれすぎていてそんな当たり前のことが頭からすっかり抜とけていたのだ。しかも、おセン様に復興の見通し等の話はしたものの、お願いまではしていないのにもかかわらず、既にしてきたような口ぶりで話してしまったのは、彪比古の見栄のようなものである。


 さも当たり前のようにいうものだから、カズもきっともう話をつけ始めてくれているのだろう。やっぱり本山の兵士は違うなというような顔で頷いている。少し、良心の呵責にさいなまれたが、つかの間の幸せのためにはどうしてもつかなくてはならなかったと、自分を納得させた。

 その日、すぐにおセン様のところに行き、大まかな話をした。久しぶりにおセン様に会えて浮かれていたこと、要請を出し忘れていたこと、商人たちに申し訳ないこと…。本山では見たことがないくらい落ち込んでいる彪比古を見て、おセン様も仲姫のころには全く見たこともないような驚いた顔をしていたが、そのあとすぐに噴出した。けらけら笑う様子も本山ではほとんど見たことはなかった。大丈夫よと言うおセン様は笑いすぎで出た涙を拭きながら

 すでに要請は、本山に出しているわ。

 と、言った。その顔はこの竜見の主のであった。竜見は王家の領地である。だからこそ10年もの間、仲姫が引きこもっていても誰も何も言わなかった。ゆくゆくは、仲姫の領地になるのではないかと噂するものもいるくらいだ本人もそのつもりなのかもしれない。彪比古との他愛無い会話の中で、旅の商人たちへの支援の一つとして本山への依頼ができるようにすでにヤサに頼んで竜見から依頼ができるようにしてもらっているそうで、通れるようになる今日あたり本山に向かう予定であると言うのだ。


 ここに来て、私は王族であることの意味が、本山にいたころと違うものがあることにきがついたの


 そう言ったおセン様の顔は、どこか晴れ晴れとしていて彪比古が知らない表情をまたしていたのだった。


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