後半
☆聖女塾とは、
ノース王国、王都に存在する聖女養成学校。塾長は大国ザイツ帝国の皇女フローラ姫が主宰。
勇者随伴聖女の養成を目的とした教育プログラムである。
教育モットーは、
「聖女は、囚われの王子様を助けるくらい強くあれ」である。
聖女教育の管轄は、女神教であり。王権は不介入だ。
だから、やりたい放題。いや、自由な校風でもある。
・・・・
「聖女正拳突き!始め!」
「「「「オンドリャー、オンドリャー!」」」
「聖女キック始め!」
「「「オンドリャー、オンドリャー!」」」
「聖女ロレンツは初めてだな。教えてやる。聖女、メイス打ちは、二打要らずなのだ!一打に全てを込める!三等聖女ロレンツ!メイスを天井に掲げるように持て!」
「ヒィ、ハイ、オンドリャー」
「聖女型稽古、乙女の祈り立式!」
「「「はっ、はっ、はっ!」」」
「聖女拒絶の型、乙女のビンタ!」
「「「はっ、はっ、はっ!」」」
1日、戦闘訓練を受ける。
「三等聖女、ロレンツは、風呂、部屋は別ですわ!」
・・・お、特別扱いしてくれるのか?
このアメリアは、俺の指導聖女で、王命の代読をした二等聖女だ。三等=1年、二等=2年、一等=3年だ。
「・・・ここは、男に飢えているお姉様と妹たちが沢山いらっしゃいますわ。襲われでもしたら、大変ですわ。心が女性の貴方には、女性との性行為は苦痛ですわね。
挿・・・ゴホン。関係を持ったら、即退学、入籍ですわ」
「・・・分かった」
ピン!
とロレンツはオデコを優しく指ピンされた。
「三等聖女ロレンツ、だめですわ。上級生へのお返事は、ハイッですわ。私は、孤児院対応、二等聖女アメリアですわ!」
「ハイ」
「フフフフフ、よろしいですわ」
(ポ)可愛い。もう少し、いてやってもいいなと思っていた俺がいた。
☆ミス王都
「三等聖女ロレンツを、聖女塾代表として、ミス王都に出場させる!」
「な、何!」
俺は聖女服を着ている。スカートだ。スカートに頭はベールを被っている。
正直、イヤだ。女騎士学校でも女装はしていなかった。
さすがに、これは、皆、反対するだろう。
「「「さすが、塾長だぜ。異議無しだぜ。これで、にっくきピンク頭の度肝を抜いてやれる」」」
・・・な、何だと!
☆ピンクブロンド商会主宰、ミス王都選抜会場
ガヤガヤガヤ
「ちょっと、ミスコンに、何、男が出場しているのよ!チンあるじゃない!」
「アホウ、お前、転生者だろう?知らないのか?チン取らんだ女性だ!」
「ちょっと、親父ギャグ?意味不明よーーーー」
さっそく、揉めている。あの主催者の商会の女の頭髪は、ピンクブロンド、だから、ピンク頭と言われているな。なるほど、
会場では、買収が堂々と行われていた。
「ヒヒヒヒヒヒ、ロレンツに一票をお願いします!」
「ヒィ」
「無料とは言わねえ。これで、串焼きを食べてくれ」チャリン
「ええ、そんなの。断ります」
「何だと!ロレンツは王子なのに、女になりきろうと頑張っているんだ。応援してやれよ」
「イヤなものはイヤですわ!」
ヒソヒソ
「あの馬鹿王子め」
「いい加減にしろ」
・・・やめろ。俺が出たいと言って出ているワケじゃねえよ。
【オ~ホホホホホホ、聖女塾さんは、更に頭がおかしくなったのかしら】
「何!」
「黒薔薇女学院だと!」
黒が基調のドレスを着た令嬢達、約100名が、会場に現われた。
「オ~ホホホホホ、皆様、エレガントで無くてよ。私はミルフィ夫人よ。今年は黒薔薇女学院が、ミスコンをかっさらうわ」
「夫人じゃねえかよ!」
「だまらっしゃい。称号よ。称号!」
「悪役令嬢学園は帰れ!」
「エレガントでなくってよ」
喧噪が続き。いつまで経っても、ミスコンが進まない。
その時、更に混乱の拍車がかかる出来事が起こった。
「ミスコン反対です」
「ミスコンは女神教に背いてます」
「即刻、中止しなさい!」
3人の平民議会議員、妙齢の女性議員が、議員特権で、開催中止を呼びかけたが、
「おい、BBA、羨ましいだけだろ!お前ら手をバイバイのように開いて、見栄えを考えて3人で、立っているじゃないか?」
「まあ、エレガントでなくってよ。美のために、出場者は1日何時間かけていると思っているの?」
「ちょっと!女神教に背いているって、何ページの何行目?!教典の名前は?いつ、どこで、なにが、どうして、いかに、背いたのよーー言ってみなさい!」
「「「ヒィ」」」
秒で、逃げ去った。
結局
「~え~、今年のミス王都は、貴族学園生徒会書記、メアリー女史、伯爵令嬢です」
パチパチパチパチパチ!
「普通が一番」
「こういうので良いんだよ」
「感想をどうぞ」
「え、え、友人に勝手に応募されて、困っていましたが、でも、皆様、有難う」
「「「ウワ~~~~~~、それで良いんだよ」」」
「普通だ」
ごく、普通の茶髪に緑かかった目の、控えめの令嬢が選ばれた。
ロレンツは、圏外だった。
「落ち込むなよ」
「何、来年もあるさ」
・・・来年も出す気か?
☆その後、
聖女塾のカリキュラムをこなすことになる。
「聖女塾名物、イケ面捜索行軍実施せよ!」
「オラ、オラ、オラ~聖女ロレンツが、イケ面をご所望だ!」
・・・何故、俺の名前を出す!俺は、イケ面なんて好きじゃねえよ!
「ヒィ、男女!?気持ち悪りー」
「貴様、聖女法第17条、聖女侮辱罪を適用する!」
「だって、こいつ、男じゃんかよ!」
「黙れ!」
約1年間、聖女塾に在籍することになるが、この騒動は、聖王国女神教会本部にも届くことになる。
☆
「私は、聖王国聖女山のナターシャです。聖女フローラ、気のせいかしらね。聖女養成学校に、男がいますわね」
聖女ナターシャ、聖女山修道院長、齢70を超えている老齢の聖女、真の聖女の称号が贈られている。各国から尊敬を集めている聖女である。
ピピピピー
「聖女力、5000、70歳を越えて、化け物かよ!」
聖女王の3000を凌駕している。
「フム、聖女力が、勝敗を決めるのではない!聖女パンチ!」
「聖女防御型、フランソワの華!」
聖女王のパンチを、回し受けでかわす。
戦いが始まったが、
「さあ、ロレンツ、逃げて、今のうちに」
「アメリア先輩!」
「キャ、ここまで敵が?」
聖女塾は囲まれた・・・
・・・どうする俺?聖女塾なんて、1ミリもどうでも良いが、アメリア先輩・・・だけは守りたい。
「「「聖女、魔封じの結界!」」」
「キャア」
「アメリア先輩・・」
・・・どうする俺、アメリア先輩が、一身に聖魔法の攻撃を受けている。
「ロレンツ、貴方は後輩の聖女、貴方だけでも逃げて、奥義、聖女八方破れを使うわ」
「何、それを使うと、聖女生命が絶たれる大技・・」
・・・猶予はない。これだ、俺に出来る究極奥義!
「聖女破り!チン見せ!」
バサ!
「「「・・・・」」」
少しの沈黙の後、
「「「キャーキャーキャーキャー」」」
と聖女山の聖女たちは逃げて行った。
・・・・
「ウム、我に、膝を付かせるとは」
「フフフフフ、私に挑むのは・・貴方の年齢だったら、後45年早くてよ」
その時、桃色の花びらが、二人を包んだ。
「ピンクブロンド奥義、ブレインフラワーガーデン!」
「まあ、脳内がお花畑になる技ね・・・ピンクブロンド聖女と聖女王・・・分が悪いわ。まあ、一時退散するわね」
「ピンク頭!」
「フン、聖女塾を倒すのは私なんだからね」
「フン、まあ、礼は言おうぞ」
☆結局
男の聖女は認められず。
王の裁断が下った。
「第三王子ロレンツは王宮付、聖女塾を退学せよ」
「「「そんなーーーー」」」
と皆は残念がるが、王子は別のことを考えていた。
・・・正直に言おう。アメリア先輩好きだ!と
ロレンツは、アメリアに告白をしようとしたが、
「アメリア!無事か?」
「カーター様!」
「お、アメリアの婚約者だ」
「いいなー」
・・・そんな。私は、土俵にも上がっていなかったのか?
グスン、グスン。
「お、ロレンツ、別れるのが悲しいか?」
「「「俺たちも悲しいぜ!」」」
「うん。うん。グスン、グスン」
ロレンツは、初めて、人前で大泣きをした。
・・・
「ロレンツよ。もう、悪評が近隣諸国に広まり、婿の行き先を選べない。分かるな」
「はい、陛下」
「多額の援助金をつけて、小国トランダ王国の王になってもらう。今日中に出立しろ」
「はい・・・」
・・・もうどうでも良い。
☆トランダ王国
「ロレンツ王子、良く来られた。私は引退して、貴殿に王を任すぞ。我は、引退して、猫耳娘と暮らすぞ!
この王国は、性癖は自由だ。王子は、裸で、王都を回ったと聞いたが、それも自由だ。馬車を出して、裸で即位パレードだ」
「はい」
☆トランダ王国王都
ガヤガヤガヤ
「おい、今度の王は、裸だぞ」
「シィ、言ってはダメよ」
情報を間違って捉えられ、ロレンツは裸でパレードを実施した。王都市民は何も言わない。
しかし、
子供が、群衆の中から出て来て、
「ヤーイ、王様は裸だ!」
と叫んだ。
「捕まえろ!」
「ヒィ、王様が裸だから、裸って言っただけじゃんかよ!」
「不敬罪で死刑だ!」
その時、ロレンツは馬車から降りて、子供に言う。
「よく言ってくれた。おかしな事はおかしいと言える世を、君達が作るんだよ!」
「ヒィ、おかしいくせにまともなことを言っている。ウワ、抱きつかないで、チンがつく~」
トランダ国王が、簡単に、外国の王子に譲位したのはワケがある。
借金ばかりで、近隣諸国に分割される寸前だったのだ。
王子についてきた援助金をもらって、国王は逃げ出した。
しかし、
聖女王の祖国、ザイツ帝国から、多額の資金援助と、優秀な財産管理人が来て、再建を手伝うことになる。
「聖女王から、・・・皆、これは・・・」
書簡が贈られてきた。
聖女塾の卒業証書である。
「今もゴロツキ聖女だと思うけど・・・何故、涙が出てくるのだ!」
女神教典では、未だに、男が聖女になった事例は、記載されていない。
最後までお読み頂き有難うございました。