第22話 時渡りの妖精(1)
ティルフィーと名乗る妖精は、俺が未来から来たと言った。一体どういう事なのだろうか。意味がわからないといった様子の俺を見て、ティルフィーはふふんと自信ありげな表情で続ける。
「キミに分析の魔法をかけたんだ。そうしたらビックリ!妖精王様の魔法がかけられているじゃないか!」
さらに状況が掴めなくなった。俺は妖精王なんて知らないし、さっきまで図書院にいたんだ。魔法なんて…
「あ、もしかしてあの光…」
「心当たりがあるみたいだね?それは、この世界で妖精王様しか使うことの出来ない時渡りの魔法なんだ!キミの体にはその術式が組まれている。だから、ボクはキミが未来から来たって分かったんだよ!」
「!!」
「頭が痛かったのもきっとそのせいだね。一気に時を駆けたんだ!頭くらい痛くなるよ!」
ティルフィーは時渡りの魔法と言った。それは、このイシュタントに伝わる伝説の一つ。かつての神々の戦いの末、生き残った妖精たちが後に初代国王となる赤ん坊のアルケイドへ託したと言われるものだ。そんな魔法がなぜ…
「さっきの話を聞く限り、きっとキミが手に取った本に魔法がかけられていたんだね。本を開いた者を、ここに呼ぶために」
「そうだとしたら一体何のために?」
そうだ、仮に妖精王の魔法がかけられていたとして理由が分からない。悪戯にしてはタチが悪いし、何かしらの意図があるのだろう。
「んーどうだろう?妖精王様は気まぐれなところがあるからね」
けれど、と先程とは打って変わった真面目な表情に変わったティルフィーは、
「ボクら妖精族には、とある言い伝えがあるんだ。『時を渡りし英雄来たる時、救済の光とならん」ってね。詳しい事はわからないけれど、現にキミがこうして現れた。つまり、伝承は本当だったってことさ!」
と、真面目な表情から一転、再び片目をぱちぱちさせながらティルフィーは言う。
「ティルフィーの言うことが正しいなら、確かに俺は時を渡ったのかもしれない。けれど、英雄とか救済の光っていうのは意味がわからないな」
「ここで話していても仕方ないし、妖精王様のところへ行って話を聞こうよ!キミが本当に言い伝えの英雄なのかも、なんで妖精王様が魔法を使ったのかも分かるかもしれないよ!」
ティルフィーの言う事は最もだ。それに、俺は元の世界に帰らなければならない。そのためにも、伝説の妖精王に会いに行こう。




