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エンデ・デアヴェルト ≪終わりと始まりの物語≫  作者: 松ぼっくり
第2章 「壮途」
17/30

第16話 刺客(1)

約3年振りの更新です。

前話までは就活のポートフォリオ作りの為、プロット無しから1ヶ月でどのくらいの設定を練り、文章をかけるかという練習でした。友人に拙作を見せる機会があり、創作欲が沸いたため続きを書いてみました。せっかく自分で始めた物語なので、一つの縁として完結まで書けたらな〜とか今は思ってます。多分無理です。


「今後の予定として、クエストを3つほど用意してみた」


ヴェリエントスは受けた依頼書を目の前に広げてそう言った。


「再度確認するが、私たちは資金も戦闘力も足りていない」


普段よりも低いトーンで話すヴェリエントスから、本気で言っていると言うことが伝わる。


「君たちは戦いとは無関係の子供だった。しかし、今後迎え撃つであろう脅威に立ち向かうためには力がいる。そこに年齢は関係ない」


その通りだ。ラマラシアとの約束を果たすためには世界中を周り、そして未来人と邂逅する場面も出てくるはずだ。


いつまでもヴェリエントスだけに頼ってはいられないし、エリカを守るためにも力がいるのは当然だ。


「そこで、最初に言った通り3つのクエストを用意した。これを見てくれ」


そう言ってヴェリエントスが差し出した依頼書を俺とエリカは受け取る。


「バスタ鉱山に巣食う魔物の討伐、生体研究に使用する魔物の捕獲、それと…中央図書院の書物整頓。えっと…最後のやつは何?」


戦闘経験を積むための依頼は納得だが、3つ目の書物整頓依頼は意図が読めなかった。


「その依頼は中央図書院が直接指定している依頼でな。その依頼を受けたものは、院内関係者案内の元で一般人が普段は立ち寄ることのできない書物が納められている部屋の整頓を任せられる」


なるほど、俺たちが閲覧できる範囲外、つまり俺たちが求めている隠された王国の歴史の情報があるかもしれないと言うことだ。


「しかし、この依頼を私が受けることはできない」


「そっかぁ、ヴェルは王国の騎士様だもんね」


エリカの発言に頷き、ヴェリエントスは続ける。


「2人に頼むことになるが、少々難易度が高い。この依頼はあくまで書物の整頓。閲覧の許可は記されていない」


「じゃあどうするの?」


まさか、ヴェリエントスは盗みを指示しようとしているのか。そんな事が頭をよぎり、口を開こうとしたときヴェリエントスは手のひらを向けて俺を制止した。


「君の考えているようなことではない。私は騎士だ。そのようなことはしない」


よかった。もし盗みを働けと言われたならばヴェリエントスと言えど怒っていた。エリカの過去を掘り返すようなことはしたくない。


すると、ヴェリエントスはふっと表情を崩し、


「何、簡単なことさ。関係者と良好な関係を結べばいいだけの話だ。君ならば容易いことだろう?」


俺が呆気にとられているのを見て、ヴェリエントスは続けて、


「それに、こちらには薄幸の美少女もついている。男性の職員ならばエリカに目を引かれることもあるだろう」


と、俺に一度も見せたことのない顔でエリカを見て微笑んだ。


窓から差し込む夕陽だろうか。エリカの顔はどこか赤く見えた。


「うん、任せて。あたし、本読むの好きだから本の話しして仲良くなるよ」


「そういうことだ。リカルド、君もよろしく頼む」


こうなってしまっては俺が嫌と言うわけにはいかない。わかったと頷き、


「ヴェルはどうする予定なんだ?」


「私は今回も別行動だ。どうにも気になることがある」


それを今から話すと、これまでとは違う真面目な表情に変えてヴェリエントスは話を始めた。


「ミゲルさんの依頼で地下水路のスライムを討伐した後からだ。何者かの視線を感じていた」


「……!」


気づかなかった、流石はヴェリエントスだ。


「デクスの件もあったことから王国の人間が私を監視しているとも思ったが…、恐らく違う」


「というと?」


「恐らく、あの時と同じ未来人の可能性が高い」


ヴェリエントスの発言は、俺の緊張を高めるには十分だった。余程雰囲気が変わっていたのだろう、隣に座るエリカが服の袖を握ってこっちを見ている。


「リカルド、顔こわいよ?大丈夫?」


エリカの優しい音が耳に届いたからだろうか、すぐに力が抜け緊張も解けた。


「ありがと、大丈夫だよ。続けて、ヴェル」


続きを促すと、ヴェリエントスはあくまでも予想だと前置きをして、


「我々を監視する必要がある人物がそもそも少ない。今、ありえる可能性から考えると未来人である可能性が高いということだ」


「どんなやつかは分かったの?」


「いいや、路地に誘い込んでは見たが…、気づかれたのだろうな。私が振り返った時には既に消えていた」


かなりの手練れだとヴェリエントスは言う。それは間違いないだろう。ヴェリエントスの強さは俺が一番よく知っている。


気づかれていたとはいえ、見つかることなく尾行をすることができる人物は危険だと判断できる。


「つまり、ヴェルはそいつを炙り出すってことね」


「そうだ、仮に私への尾行が無くなれば君たちに目的を変えたということになる。そうなれば、もし刃を交えることになっても3人で対応できる」


ヴェリエントスの言い分は納得した。彼の提案通り、明日以降は俺とエリカは図書院で活動し、ヴェリエントスは尾行が何者かを炙り出す。


「残りの2つはどうする?」


「魔物いっぱい倒すんだよね?」


エリカはいつになく声が弾んでいる。同じ年の子供達は親の元で真っ当な生活を送っていることを考えると心が痛むが、それでもエリカは俺たちと共にいると言ってくれた。


エリカ自身、魔法を使うことに嫌悪感は無くなったと言う。むしろ、今はもっと魔法を使えるようになりたいとも言っていた。


図書院での資料探しよりも、エリカにとっては魔物退治の方が楽しいのだろう。


「討伐依頼は期限がかなり長い。まずは目先のことから片付けよう。粗方ケリがついたと判断したら討伐依頼に向かおうと思っている」


了解と一言返し、改めて今後の予定を確認したあとでミゲル夫妻に晩の挨拶を済ませ、俺たちは眠りについた。


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