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異世界で女嫌いのイケメンに甘やかされています  作者: ハラペコWASABI
恋愛編

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大事な話

 野球を広めようと心に決めた私は、そのままレノックスに提案。

 プレゼンを聞き終えたレノックスは目を輝かせ、パチパチと拍手をする。


「楽しそうだ!僕も手伝うよ。クルーデン領でチームを作ろう!」


「ありがとう!せっかくだからサトウ王も誘ってみない?野球には対戦相手も必要だし」


「いい案だ」


 お城に帰ると、早速現サトウ王にも野球の説明。

 すぐに興味を示したサトウ王。高校野球は流石に無理なので。


「まずはクルーデン領とサトウ国の代表チームで試合できるように目指したらどうでしょう?」


「それは勿論だが、面白そうだから今我が国(うち)に遊びに来ている国も誘ってみるのはどうだね?」


 と、サトウ王の一声で、いきなり城の大広間で野球講習会が行われる事になった。

 観光で来ている何処かの国の王族、貴族様達に向かい、私は怯むことなく熱弁を振るった。野球を布教する、ただその為に。

 それに、教師志望だったから先生になったみたいで満足。夢が少し叶った気分。


 私の話を真剣に聞いてくれていたお偉いさん達は、皆娯楽に飢えていたのか、乗っかる乗っかる。

「うちの国はバットを作る」だの「ボールはうちの国じゃないと作れないだろう!」と、道具生産の振り分けと言う名の熾烈な奪い合いが始まった。


 グローブ、キャッチャー防具にスパイク、バットと他にも造ってもらう物は多いけど、私にはサトウ王に買い取って貰う一万円と言う秘密兵器があるので、金銭面も問題なし!


 サトウ語でルールブックを作り翻訳してもらい、急遽立てられた各国の担当者達にみっちり教育……目まぐるしくて、ほっと一息ついた時は野球プロジェクトが始動してからすでに4日ほど経っていた。


「はぁ、疲れた……」


 部屋に戻って溜息を吐く。

 ああ、蒼大に会いたい。忙しい時は忘れていられるのに、静かな部屋に戻ってくると、すぐに会いたくなる。


 レノックスにお願いしてハヤイ鳥で手紙を送ってもらったけど、蒼大は手紙を読んだよね?


 部屋からサトウ国の優しいオレンジ色の光が溢れる風景を見つめ、手紙を読んでいる蒼大を想像する。


 さすがに初代サトウ王が蒼大のお父さんだと思うなんて書いてないけど。

 大事な話があるから、会って話したい。なるべく早く来てほしいって書いた。


 それにレノックスが重大任務があるから、蒼大をしばらく休ませて欲しい旨の手紙も騎士団に書いてくれたし。心配はいらない。


 来たらどうやってサトウ王の事を伝えようかな?


 頭に蒼大を思い浮かべ、ぼーっと外を眺めていたその時、ドアがコンコンとノックされた。


 こんな夜に誰だろう?レノックス?


「はーい!」


 急いでローブを羽織り、ドアを開ける。


「っす」


 見慣れた金髪頭。騎士服に身を包んだ蒼大が、少し照れくさそうに片手を上げて立っていた。


 相変わらずの切れ長のシュッとした瞳がカッコよくて目が離せない。


「七海……会いたかった。けど誰かも確かめずドアを開けたらダメだろ」


 蒼大の声に、夢じゃないって胸がキュンキュン。しかも会いたかったって……素直に嬉しい。

 でも、まずはお父さんの話をしなければ。


「私も……会いたかった!それでね、実は蒼大に大事な話があって——」


 私が言い終わるより早く、蒼大が少し強引に私の言葉を遮った。


「……ちょ、待って。俺から言いたい」


 すっと私の唇の前に人差し指を立てて言葉を止めると、見たこともないくらい真剣な表情で見つめてくる。


「えっ?」


 お父さんの事、知ってたの?驚いている私とは裏腹に、蒼大はふぅと大きく深呼吸した。


「実は俺、中学の時からずっと七海が好きだった」


 蒼大の爆弾発言に息が止まるかと思った。いや、時間と共に心臓すら止まっていたかも。


 お父さんの話しか考えていなかった私は、いつかの蒼大みたいに完全にフリーズ。

 想像もしていなかった言葉に耳を疑うしかない。


「おーい!」


 蒼大が私の顔の前で手を振っている。


「聞こえてんのか?まさか立ったまま寝てねーよな?」


「寝てる……の。驚きすぎて、脳みそが寝てるの!全然理解できない!」


「ハハ、マジか!もっかい言うぞ?俺、中3の時からずっと七海の事が好きだった」


「ええええ〜っ!!」


 多分お城に響き渡ったんじゃないかと思うほど大声で叫んだ。聞き間違いじゃなかった。ありえないでしょ?全然接点なかったよ?


「どどど、どう言う事?」


「中3年の時友達に付き合って良くうちの学校に来てただろ?俺に興味無さそうに余所ばっか見てた」


「あ……」


 考えが追い付かないけど、私が中学の時付き合いで行っていた事を知っていたらしい。

 もう驚き過ぎて体が震えて呼吸もできないレベル!


「たまたま七海が目に入った時こう、身体に電流が走ったんだ。それからずっと気になってたんだけど、偶然七海が公園で涙流してるとこ見て……俺が守ってやりたいって思った」


「あ……」


 震えてハッキリ声が出ない。公園で泣いたのって元カレと別れた時の……確かに人目もはばからず吠えて泣いたけど、まさか蒼大に見られていたとは。


「あんなとこ見られたんだ。恥ずかしい」


「わりぃ。見ちゃった。でもあの時まじで自覚した。それからはちょっと引かれるかも知んねーけど笠井に協力してもらって……」


 バイト帰りの時間にコンビニで待っていたとか、想像もしなかった言葉ばかりを紡ぐ蒼大。


「まさか、コンビニで告白しようとしてた相手って……」


「そ、七海の事。改めて言う、俺と付き合ってください」


「はい」


 思考はまったく追いついていないけど、考えるよりも先に口が動いちゃった……


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