オタク乙女の夢
屋敷から馬車に乗りすぐに騎士団の詰所に到着。
白い2階建ての洋風の建物に、威圧感のある黒い扉。
扉には騎士団のマークと思われる銀色のライオンの紋章が飾られている。もうこの外観だけでカッコイイ。
期待値とテンションがグンと上がりドキドキしながら内部に潜入。
乙女の夢の全貌が明らかに!キャー!
そこは想像通りのキラキラ空間。革と金属と、なんだろう、男の人の色気の香り?がする。
待機中の騎士様達、10数名は黒塗りの椅子に座りくつろぐ。
長いテーブルの上にはカップ&ソーサー。カップの中身は紅茶に違いない。お洒落な騎士様達のイメージ通り。
「騎士様、私紅茶淹れて来ますね」
って言いたい。
あ、蒼大が騎士様になるなら私もここで働かせて貰えないかな!毎日蒼大のカッコいい騎士服姿を見るのだ。ふふふ。
そんな野望を抱いた時、騎士様達が私達に気付くと一斉に立ち上がり近寄って来た。
騎士様全員イケメン。歩き方までお洒落に見える。モデル?全員モデルなの?!
乙女の夢頂きましたー!
上がるテンション、私は隠しきれないニヤつきを誤魔化すように軽く頭を下げた。
「レノックス様、そちらの美しいお嬢様が噂の異世界からのお客様ですか?」
燃えそうな赤髪で20代半ばくらいの騎士様が私の顔を見てレノックスに問いかけた。
「美しいお嬢様」だって!この世界は初対面だとお世辞を言わないといけない決まりがあるのかも。
「そう、この方達が異世界からいらっしゃったお客様。ナナミ・オガワ様とソウタ・ド・ヤンキー様だ」
「よろしくお願いします」
「わたくしは騎士団長のデニス・アッサーノと申します」
騎士団長デニスは礼をした後蒼大にキラキラした目を向けた。
「突然ですが、ソウタ様の着ている服を見せてもらってもいいでしょうか?」
そう言えばこの世界の人達特攻服をカッコいいとか刺繍凄いって言ってたな。
またいつの間にか虚無顔になっていた蒼大はコクリと頷き団長と少し言葉を交わすと、どこかに消えてしまった。
蒼大メモ。緊張しすぎると虚無顔になる。でもその顔も嫌いじゃない。むしろ好きかも。て言うか蒼大ってどんな表情してもカッコよく見えるよね。
レノックスとピンクマンが他の騎士様達にも私を紹介してくれる。
笑顔で挨拶をしていた時、ドアがバタンと乱暴に開いた。
皆ピタっと話を止めてドアに注目する。と、特攻服を着た騎士団長デニスが肩で風を切り入って来た。
え、何?あの歩き方。
驚いて見ていると、デニスは部屋の中央でサッとしゃがみヤンキー座りを決めた。
「オオオ!」
どよめく団員達。
「その服装と座り方最高だよ!歩き方もね!」
「男らしさを感じますね」
ピンクマンとレノックスも声を上げた。
信じられないけど、どよめきは良い方のどよめきだった。
似合ってるけど、私から見るとセンス溢れる騎士様がスマートさを脱ぎ捨ててヤンキーになってしまったとしか思えないんだけど。
「今ソウタに教えてもらったんだ!この歩き方と座り方が男らしいって!」
子供のように瞳をキラキラと輝かせたデニス。
蒼大?騎士様にヤンキー座りを教えるなんて信じられない!
えっ?!ちょっと待って?やめて?!
デニスの周りにしゃがみ始める騎士様達。「こうだね?」なんて、流れるような仕草でヤンキー座りをしていく。ピンクマンもレノックスも座った。
ヤ・メ・テ!
全世界の乙女の夢、騎士様のヤンキー座りなんて見たくない!
あまりのショックに言葉を失った時、ドアがまたバタンと開いた。




