第7話 ガンガンミュージック
ここ数日、柴田は眠れぬ午前中を過ごしていた。
遅番は午後三時から午後十一時半までの勤務となる。出玄寮までの電車は上り線になり、その時間はもう終電している。そのため寮生たちは、会社の用意したバスで帰ることになる。
バスの出発は午前零時十分なので、普通にしてたら結構待つ。
なので柴田は、遅番終わりに提供される食堂の夜食を食べて時間を潰す。これは日替わりのメニューが一種あるだけで選択肢はない。うどんや、ラーメンなどが多く、何故だか紙パックの牛乳が付くことが間間ある。
バスに揺られて十五分ほどだろうか、寮に到着して、柴田の場合は部屋に戻るとすぐに風呂に向かう。汗を流し、一服するのはその後だ。
それからなんやかんや時間が過ぎて、午前三時を過ぎると。
──そろそろ寝るか・・
と、布団に入る。
で、午前中は必然的に寝ていたい時間なのだ。
ところが、このところ思うようにならない。原因は窓の外。眼下に広がる小学校のグラウンドにある。
──また始まった・・
柴田は思う。
音楽が大音量で鳴り響いている。
折しも小学校では、運動会の練習が行われているのだ。
大音量とか、近所迷惑じゃないのか? そう思うかも知れないが、これがまったく近所迷惑にならないのだ。なにしろ、小学校の付近にあるのは田んぼと畑、パチンコ屋、そして出玄寮しかない。
田畑は無人。パチンコ屋はお前がうるさい。だからノークレーム。
では出玄寮はというと、ある先輩が言うには。
「俺たちに人権ないから」
だそうだ。
それは冗談だが、寮としても地域の小学校と事を構えたくはないのだろう。
どちらかといえば、寮生が買い食いでポイ捨てしたとかで、地域からクレームが来たりしてるらしい。
なんにせよ、運動会の練習で目が覚めてしまう柴田は。
「耳栓、買いに行こ・・」
出勤前にドラッグストアに立ち寄ることにしたのだった。




