第40話 ツギツギティーチング
本日よりロジ専門の派遣スタッフが配置された。
これから二ヶ月ほど掛けて、彼らに部品供給の仕事を引き継ぐことになる。
とはいえ、柴田たちのやる事は、新しく入った人にやり方を教える、これまでのそれと殆ど差はなかった。
最初は台車の押し方──。やはり、初めてだと前後を把握できないのか、逆向きにやるパターンが多い。
次にアドレス。要はお届け先の場所だ。
部品の入った箱。バケットと呼ばれるそれの台車からの降ろし方も、コツがある。四角い箱ならまだいいが、細長の物だと気を付けないと横に倒れてしまう虞がある。
ちょっと変わったのだと、信号機の渡り方とかもある。
ラインには、こっちから見て手前もあれば、当然、向こう側も同じく存在する。両サイドから、それぞれ部品を取り付け車を作っているから、当たり前だ。
手前の工程に部品を納入したら、反対側の工程もやはり部品が納入される。
ラインには途中横断できるように道が出来ていて、そこを台車を押して反対側のエリアに行き、そこでまた部品をアドレスに届ける。
で、その道には信号が付いていて、普通に青になったら渡るのだが。その信号は、あくまで、ライン上の車と車の間隙で色が変わっているだけだ。青だからといってちんたら台車を押す暇はないし、スペースも狭いため、他の台車と被ると次を待つことにもなる。
そんなわけで、慣れない内は、めっちゃ緊張するのが信号機の場所だったりするのだ。
あとはエレベーターの使い方なんかもある。
出入り口が前後にある以外は、普通にボタンを押せば動くのだが、安全用のバーを乗り降りの都度取り付け、取り外ししなければならず。その付け方に、なんか順番があるため、実際に乗り降りしながら手順を説明する。
柴田は、何人かにエレベーターの使い方を教えたが、ひとり。
「エレベーターの使い方わかりますか?」
説明の前振りでとりあえず聞いたときに。
「はい。わかります」
と、即答した者がいた。
あとで聞いたら、昔、働いていたことがあるとのことだった。
──経験者なら工場で直接雇用してやればいいのに・・
──そういう人も派遣になるのか・・
柴田は何だか、複雑な心境になった。
ともあれ。このチームでの最後の仕事は幕を開けた。




