第41話 バイバイロジスティクス
「なんか作業着違う人らいるんだけど・・」
「あー。部品供給が外注になるらしいよ」
食堂で並んでいると後ろから声が聞こえる。
柴田はそれを耳で拾って。
──今更かよ。
と、内心つっこんだ。
柴田たちが引き継ぎのため、彼らロジスタッフに指導するようになって一ヶ月以上が経っていた。
最初はパラパラと見かける程度だったが、今や食堂でもそれなりの存在感とも言える数のスタッフが食事をしていた。
後ろの人が何処の誰かは知らないが、流石に気付くのが遅いだろうというわけだ。
ちなみに、社員や期間工は社員証でピッっとやって食事を取るが、派遣のスタッフたちは、チケットのような物を渡して料理を受け取っていた。
一時的な措置なのか、今後継続してのやり方なのかは不明だ。
ともあれ、仕事の移行は着実に進んでいて──。
今現在の実際の作業は、ロジスタッフが主体的に行って、柴田たちはそれをサポートするような形になっていた。
そんなときだった──。
作業に慣れてきた所為であろう。スタッフの一人が、台車からバケットを降ろそうとしているときに、一箱崩してしまった。
部品の詰まったバケットは重い。故に一つずつ降ろしていたのでは、時間的にも体力的にも大変だ。
それである程度まとめて降ろすのだが、その際は、引き出しを開けるようバケットをずらして片側を床に付け、その状態から滑らせる感じで台車からカタンっとやる。バケットは積み過ぎないように配慮して、片手はバケットを支えるようにして慎重に行うのだ。
聞き取りの結果。バケットの高さは問題なかったが、片手で支える事を横着したため起きた事故ということだった。
で、崩れたバケットの中の部品は使用不可となり、急遽、追加で発注が為されたようだった。幸いにして部品は明日製造分の物であったので、供給も間に合うらしい。
やっちまったスタッフは厳重注意を受けたか、わかりやすく、がっくしとしていた。
この事で柴田たちは──。
「ここに足掛けて、こう降ろしてから、こうやって引く・・」
一つ一つの作業に、スポーツのフォームの指導のような、細かく矯正をする羽目になった。
柴田は。
「こんなの個人差だし。そもそも横着しなければいいって話ですよね」
若本にも言ってみたが。
「もう時間無いからじゃないか。わかんないけど」
そんな風に返された。
こうして残りの日数は過ぎ、最終日には、ロジスタッフから手を振られる形で、柴田たちは部品供給の仕事を完全に終えた。
(第一章 ロジスティクス編 終)




