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キカンコ  作者: テンチョウ
第一章 ロジスティクス編

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第39話 コツコツリセット

 この日、柴田のいるチームの他、同じように部品供給を行っている数チームが集められた。そしてプロジェクターを使っての説明会のような事が行われた。


 内容をひと言で表すと──。


『部品供給チームは解散する』


 という事だった。



 なんでも部品共有は元々、搬送業者がやっていたらしい。柴田も実際、一部エリアでは、社外の人と思(おぼ)しき者が台車を押しているのを見かけたりしていた。

 それが、偽装派遣云々(うんぬん)というコンプライアンス上の問題が発生し、自社の労働者、即ち、柴田たちのようなスタッフが運ぶ事になったという。

 が、経費節約の観点と、コンプライアンスをクリアする方法として、別途ロジスティクス用の社外派遣スタッフを入れるという話になった。


 詰まるところ──。

『安く使えるスタッフが見つかったから、お前らもう仕事ねーよ』

 って話だったのだ。


 で、今現在の部品供給のスタッフは、派遣スタッフとの引き継ぎが終わり次第、ライン業務へと配置転換されるとのことだった。




 説明会が終わったあと、何人かは項垂(うなだ)れるようにしていた。

「俺、ラインやりたくないっすよ~」

 とか言っている。

──じゃあなんで求人に応じた?

 と、突っこみたくもなったが、柴田も違う仕事となる未来に不安を禁じ得なかった。


 柴田のいるチームは、社員以外は殆どがラインに異動するが、黒井は部品供給に残る。なんでも契約の残りが僅かだからという事らしい。新しい職場で、新しい事を覚えても、すぐにいなくなってしまうのでは意味がないからだろう。


 トイレマンこと、若本は。

「まぁ俺からしたら、ラインじゃなくて戸惑ったぐらいだから、元に戻るみたいな感覚かな。ただ一つ、便所に行くのが面倒臭くなるのがな~」

 仕事よりも、うんこの事を気にしていた。


 柴田はラインの経験どころか、工場勤務もこれが初めてであるから。

──リセットだな。

 ゲームを途中から強制的にやり直すような、積み上げた経験値が全部消えるような、そんな感覚を持った。



 ともあれ。この日の作業は、チーム全体が、どこか低めのテンションで行われているように柴田には見えた。

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