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キカンコ  作者: テンチョウ
第一章 ロジスティクス編

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第38話 ゼロゼロプラン

 道端から大雪の名残が消えたころ、沼川が別チームに異動になった。

 元から黒井以外の者と、あまり上手くいってなかったが、年末の年越しカップ蕎麦の集まりに参加しなかったことが何か影響しているんじゃないかと、柴田は勝手に思っていた。

 無論、そんなことは口に出して言ったりしないが、誰も、黒井ですら沼川のことを話題にしないので、隔絶は思ったより大きかったのかも知れない。


 もしかしたら、社員の男(特に役職はないと思われる)が以外に発言力を持っていて。

「俺の好意を無駄にしやがって・・」

 などと異動に関与したとか、柴田は想像したりしていた。



 ともあれ、一人減ったチームだが、特に補充はないまま行くようだった。




 この日は遅番で、例によって夜の遅い時間は暇になってきた。

 柴田は。

「そういえば、増産するとかいう話ってどうなったんです?」

 若本に尋ねた。

「あー。なんかなくなったって聞いたけど」

「えっ!? そうなんですか」

「あの雪で、生産計画自体を見直すとか、そんなんじゃねーの、知らないけど」

「あれ? 足りない足りないとか言ってませんでしたっけ・・」

「言ってた。でもなくなった。土曜出勤もなくなったから」

「あらら・・ 何が起きてるんですかね」

「わかんない」


 折しも世間では、紆余曲折(うよきょくせつ)あった消費税増税が決定し、数ヶ月後には税率があがることになっていて、その前の駆け込み需要があったはずだった。

 だからこその増産で、休日出勤でもあったのに、雪で予定が変わったからって計画自体までなくなるのは、柴田には不可解に思えた。


 なんにせよ、一介の期間工たちには知るべくもない話であるのは確かだった──。

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