第4話 ヒマヒマナイト
柴田の仕事は工場内の部品の運搬である。
所謂、構内ロジスティクスというやつで、それぞれの工程ごとにアドレスがあり、時間までに指定場所に部品を運ぶことになる。
仕事は二交代のシフト制で行われていて、早番、遅番で分かれる。
工場と言えばラインであり、それは一定の速度で動くから、仕事もある意味一定のペースで行われることになる。
ところが、部品の運搬というのには、その一定さはない。
同じような時間に大量に納品されて、それを汗だくで捌いていくといった感じの作業になる。
逆に、入ってこない時間は、まったく入って来ず。やることが無くて、肉体の疲労は少ないはずなのに、何故かとても疲れるといった事態が生まれる。
早番の場合。
朝の時間とかは暇なのだが、それでも昼前から糞ほど忙しくなり、その忙しさがずっと続く感じで、遅番との引き継ぎまでに至る。
スロースタートからの長距離走が始まる感じだと、柴田は思っていた。
キツイはキツイが、充実している分、まだマシなのだ。
問題は遅番だ。
これは引き継ぎから、いきなり忙しい。早番の時間に納品された大量の部品が既にあるのは勿論だが、追加で次々入ってくる。既存を捌きながら、新しい物を整理していく。
柴田の感覚では、上り坂のダッシュが始まるようなものだった。
しかし、隆盛は長くは続かない。
夕食休憩が終わると、新たに入ってくる物は大幅に減る。夜ともなれば、ほとんど来ないと言って過言でない。
でも在庫の部品を捌かなきゃ──、と思うだろうが、そうもいかない事情がある。
部品の納入先に、置くスペースがないのだ。
どういうことかというと、既に本日分の部品はアドレスに届けられた状態であり、柴田たちの所にある物は明日の午前中に使う分だったりするのだ。
極論、今日もう何もしなくとも、工場は問題なく動いてしまう状態だ。
かといって、本当に何もしないわけにもゆかず、柴田たちはひたすらスペースが空くのを待つ時間を過ごす事になる。
この待機時間が柴田には恐ろしく苦痛だった。
ようやっとスペースが空き、部品を無事届けることが出来ても、それで終わりではない。今度は、作業終了直前まで待機となる。
最後には部品の入っていた箱を回収する仕事があるが、それはほぼ一瞬でおわるので、あとはもうひたすら耐えるだけだ。
早番と遅番は週ごとに入れ替わる。
柴田の気分は、隔週で重くなるのだった。




