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キカンコ  作者: テンチョウ


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3/23

第3話 カラカラカレー

 数日間、座学を中心とした研修だった。

 流石というか、さも自動車会社だと思ったのは、交通事故に関するグループディスカッションみたいなのをやらされた事だ。

 いや、大事なことだ。それはわかる。それでも感じてしまうのは。

──学生じゃないんだから。

 という感覚。

 内容云々(うんぬん)ではない。いい歳こいたオッサンたちが、資料を基に、こうすれば良かった、ああすれば良かったと話し合う。その絵面がもう痛々しい。


『自分で考えてみよう!』

『みんなと意見を交換しよう!』


 そんな感じのノリは、柴田の感覚では二十歳(はたち)前後までしか許されなかった。



 当たり前だが、モヤモヤとした研修の合間にも昼休憩はある。


 昼食は食堂で取るのだが、この食堂が何気にスゴい。

 定食、ラーメン、そば、うどん、カレー、ランチ?とカテゴライズされていて、日替わりのメニューが提供される。定食は四種なので、九つのメニューから選ぶことになる。

 従業員は数百人。この規模の社食でこれだけメニューが充実してるのがスゴいのか、それとも、この規模だからここまで出来るのか、本当のところ柴田にはわからない。それでもやはりスゴいと思えるのは、味も普通に美味いからだ。


 連日、定食を選んだいた柴田だったが、今日はカレーにしてみた。

 別段カレーが食べたかったわけではないが、たまたま休憩時間に話した人が。

「ここのグリーンカレーはやべーから」

 過去にも何度か働いたことがあるのか、そのように言っていた。そして本日のカレーメニューが、そのグリーンカレーなのだ。


──あー。今日日(きょうび)見ないなコレ。

 柴田が思ったのはカレー皿だ。横に長い船のような形状のアレである。

 まぁ実際、柴田本人も、舟形の皿で食した経験はそれほどない。なのに不思議とノスタルジーを駆り立てられるシルエットだ。

 カレーには鶏肉、パプリカ、オクラ、ゆで卵が入っていた。色は言わずもがなグリーン。

 食すと独特の風味を感じる。そして・・

──!?

 カーッとする強烈な辛みが来た。ご飯で中和しようとするが、それでも辛い。

──俺も大盛りにすれば良かった。

 前の順番の人が、大盛りをリクエストしてて、そういうのもあるのか程度に思っていた柴田だったが、なるほど、これはご飯が進んでしまう。

 オクラやゆで卵が、強烈な辛みの砂漠におけるオアシスに感じてしまう。最初は何でオクラと思ったが、いやはやオクラは癒やしだ。

 しかしグリーンカレー特有なのか、辛みの後は、一種の清涼感のようなものあった。

「美味いな・・」

 柴田の評価では、かなりのヒットである。次もメニューにあったら頼みたいほどだ。


「にしても辛い・・」

 ひょっとしたら「やべー」の意味は辛さの事だったかも知れないが、今となっては、どうでも良いことだった。

 柴田は、お冷や代わりの麦茶の残量を気にしながら、緑のカレーと格闘していた。

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