第30話 ブルブルペイデイ
給料日が金曜で、週末が来て、そして月曜となった。
昼休憩が終わったあと、しばらくしてサブリーダーがやって来て。
「他のチームで人身事故があったみたいです。詳しくは、まだわからないですけど、車通勤してる人は十分注意してください」
そう言った。
黒井が車通勤してるのは、公然の秘密のようになってるので、一応の注意のつもりかも知れないと柴田は思った。
とまれ──。この日の仕事は終わった。
翌日、朝礼時に昨日話していた人身事故についてチームリーダーから話があった。
それによると──。
部品供給チームの期間工が、金曜に早退した。理由は体調不良とのこと。
夕方になり食事を取ろうとし、給料日であったことから車で出かけた。そして食事を済ませて、ついでに買い物もして、駐車場から道路へ出ようとしていたとき、自転車がやって来た。
期間工は車を停止させたが、自転車は接触もしてないのに倒れ、搭乗者の高齢女性は意識不明になった。
救急搬送されたが、夜には死亡してしまった。
との事だった。
そして、件の期間工は、次の更新契約はなしという話になっているという。
チームリーダーは。
「通勤は勿論、車に乗る機会はあると思いますが、事故を起こさぬよう。みんなわかっているとは思うけど。何が起きるか、もしもを考えながら、運転する際は気を付けてください」
そのように語っていた。
これはあとで他の皆も。
「結局、接触してないんだよな──」
この事故の展開を訝しんだ。
果たして、これが事故なのかどうかも柴田にはよくわからなかったが・・ 経緯はどうであれ、期間工は人身事故を起こしたとして、次の契約が消えたのは確かだった。
次の日、例によってこの事故をネタにしてのグループディスカッションが行われることとなった。
皆、心中は。
──これ、関係なくね?
と、思いつつも、体裁として。
「もっと事前に自転車が来ることを見越して停止しておくべきだった」
とか。
「体調不良で早退したのに、車に乗って判断が遅れたんじゃないか」
などと、それっぽい意見を出していた。
柴田としては。
──給料日だからって外食するもんじゃないな・・
あまり白米が美味しくなくても、寮の食事で満足しておけば良かったのにと、以前の食堂で四人目だった事を思い出して。
──客が来ない食堂のおばちゃんの恨みが呪いとなって・・
独り、突拍子もない想像をしながら、体調不良も含めて因果が悪い回転をしている印象を持った。
畢竟。泣きっ面に蜂みたいな事が、本当に起こるんだと思った柴田だった。




