第27話 バタバタモーニング
ある早番の日の早朝、柴田の電話が鳴った──。
柴田は目を覚まし・・
──なんだよっ、こんな時間に・・
思いながら電話に出ると。
「おはようございます。えーと、どうした?」
チームリーダーからの電話だった。
──ん?
柴田は理解できずに。
「えっ? どうしたって?」
聞き返すが。
「もう業務始まってます」
と、言われ、状況を理解した──。
早い話、寝坊したのだ。
柴田の感覚では午前四時ごろのはずが、実際は午前六時半だった。
──こんな時間!?
同音異義語であった。
慌てて飛び起き、急いで着替えて部屋を出た柴田は、途中、風呂から出てきた人とすれ違った。
──逆番か?
普通に考えてそうなる。
向こうは遅番だから今から寝ても、睡眠時間は十分とれるが、完全に朝になってから風呂に入るという発想が柴田にはなく。
──よく対応出来るな。
早番との生活リズムの時間差に、体の方がおかしくなるんじゃないかと思ったりした。
駅に到着すると、ホームには普段見かけない中高生の姿があった。
──あー、そういう時間帯か。
いつもの早番出勤のとき見かける人間は、長距離通勤と思しき人とかなので、なんだか余所の駅に来たかのような不思議さがあった。
工場に着き、ロッカーで着替える訳だが──。
どういう訳か? ロッカーで地べたに座ってスマホしている人達がいた。
──仕事は?
──遅番か?
──こんな時間からいるの?
わけがわからなかったが、柴田としては、そんなものに構っている暇はない。これまた急いで着替えて、社員証でタイムカードを切り、ダッシュで仕事場に向かった。
「よう、おはよう」
黒井班(仮)の面面が笑顔で出迎えた。
柴田は平謝り状態だったが。
「早かったな。もっとゆっくりしててもよかったぞ」
冗談のように黒井が言う。
「いや、そういうわけには・・」
柴田も笑顔で返すが。
「俺だって、風呂入ってスッキリしてから来た事あるもん」
黒井が言って、冗談じゃなくて普通にアドバイスしたようだった。
確かに、早番の早い時間帯は仕事も少ないので、チームに実害はないかも知れない。
さりとて、それはそれで問題だろう。
柴田としては。
──その発想はなかったな・・
毒を食わば皿までみたいな黒井の話に、逆転というか、人生を上手く楽しんでる人という、妙な小気味よさを感じた。
なんにせよ。
遅刻した分、この日の柴田は、いつも以上に積極的に仕事を熟した。




