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キカンコ  作者: テンチョウ


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22/23

第22話 ノンノンサウンド

 ある早番の仕事終わり、柴田が帰寮し自室に入ろうとしたとき、隣の部屋のドアに張り紙がしてあるのを見つけた。

 それには──。


『戻ったらチームリーダーに連絡を入れて下さい』

 と書かれていた。


──何のことかな?

 思った柴田は、自室でも隣の気配を(うかが)った。

 無論、収納スペースで仕切られた部屋だから、窺うまでもなく筒抜けなのだが・・


 しかしそのまま夜となり、寝ようかという時間になっても隣人が戻った気配はなかった。



 次の日も同じで、隣人は部屋に戻っていないと思われた。

 柴田は仕事の休憩時間に、その事を皆に話した。


「それは失踪したパターンじゃね?」

 坂上が言った。

「それいつからの話?」

 若本が聞く。

「紙が貼ってあったのは一昨日(おととい)ですけど、その前から静かだったような気もしますね」

 柴田は思い出し考えながら答えた。

「あー、そういえば何か来なくなったって話聞いたわ・・」

 黒井が、別チームの者から聞いた休んでいる者のことを話した。


 あとで黒井が話を聞いてきて、件の欠勤者が柴田の隣の部屋の人物で、ほぼ間違いないだろうという結論となった。



 柴田と隣人に接点は殆どない。

 一度だけ──。

「割り箸とか余ってないですか?」

 と、尋ねられて一膳(ゆず)ったことがある。それだけだ。


 なんにせよ、それから柴田は壁のない出玄(デゲン)寮で、極めて静かで快適な時間を過ごしていた。


 しかし十日ぐらい経って、隣人は突然戻って来た。

 それを職場で話すと。

「いや~、そんなパターン聞いた事ないわ」

「すごい珍しい。普通、いなくなったら、それまでよ」

「たぶん。有給って事で処理したんじゃないですかね?」

 などと、それなりによき話題となったようだった。


 ともあれ──。

 柴田としては快適生活が失われて、がっかりだった・・

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