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キカンコ  作者: テンチョウ


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20/23

第20話 ヘトヘトフライデー

 早番の金曜。

 いつもと同じように始まり、作業開始から二時間ほど経ったとき。

「どうした? 具合悪いのか?」

 声が聞こえ、見てみると若本がぐったりした様子で、唯一ある机に腕をつくようにしていた。声の主は黒井である。

 若本はリアクションを取る余裕すらない感じで、(かす)かに頷くだけだった。

「つらいならいいよ。座っとけ──」

 黒井は言って、パイプ椅子に若本を座らせた。


 そのまま昼食休憩まで時間は流れた。



 昼休みが終わり、現場に戻るとサブリーダーがやって来て。

「若本は早退させました。それで、これから忙しくなるとこ悪いんだけど、一人少ない状態で何とか回して下さい」

 黒井班(仮)にそのように言った。


 そしてサブリーダーの言葉通り、糞忙しくなった。

 以前ラインが止まったとき程ではなかったが、搬入速度が柴田たちの部品を(さば)くスピードを上回った結果、集積基地のストックは過剰気味で推移した。

 逆番との引き継ぎギリギリまで、柴田は供給作業に奔走した。


「今日は結構ありますね」

「一人いなくてさ。捌ききれなかったわ」

 逆番とのそんなやりとりもあった。




 週明け。今度は遅番となる訳だが──。

「えー。若本はインフルエンザでした。それで一週間は休みという事になります。今週は遅番なので、作業にはやや余裕があるかと思います。黒井さん所は、一人少ない状態ですけど、今週いっぱいは、このままの体制でいきます」

 昼礼でそのような連絡がなされた。


 若本は金曜の朝は元気で、冗談とか言って笑ってたが、僅か二時間ばかりでグロッキー状態になっていた。

 柴田はインフルの圧倒的速度を客観的に認識させられた感だった。



 一人少なく作業量は多くなるが、遅番は時間に追われることはないので、この一週間はとりあえず何とかなった。

 次週、若本が復活してるか不安だったが──。


「ちょ、ウンコ行ってくる」

 回復した若本は、この日も快便だった。

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