第20話 ヘトヘトフライデー
早番の金曜。
いつもと同じように始まり、作業開始から二時間ほど経ったとき。
「どうした? 具合悪いのか?」
声が聞こえ、見てみると若本がぐったりした様子で、唯一ある机に腕をつくようにしていた。声の主は黒井である。
若本はリアクションを取る余裕すらない感じで、微かに頷くだけだった。
「つらいならいいよ。座っとけ──」
黒井は言って、パイプ椅子に若本を座らせた。
そのまま昼食休憩まで時間は流れた。
昼休みが終わり、現場に戻るとサブリーダーがやって来て。
「若本は早退させました。それで、これから忙しくなるとこ悪いんだけど、一人少ない状態で何とか回して下さい」
黒井班(仮)にそのように言った。
そしてサブリーダーの言葉通り、糞忙しくなった。
以前ラインが止まったとき程ではなかったが、搬入速度が柴田たちの部品を捌くスピードを上回った結果、集積基地のストックは過剰気味で推移した。
逆番との引き継ぎギリギリまで、柴田は供給作業に奔走した。
「今日は結構ありますね」
「一人いなくてさ。捌ききれなかったわ」
逆番とのそんなやりとりもあった。
週明け。今度は遅番となる訳だが──。
「えー。若本はインフルエンザでした。それで一週間は休みという事になります。今週は遅番なので、作業にはやや余裕があるかと思います。黒井さん所は、一人少ない状態ですけど、今週いっぱいは、このままの体制でいきます」
昼礼でそのような連絡がなされた。
若本は金曜の朝は元気で、冗談とか言って笑ってたが、僅か二時間ばかりでグロッキー状態になっていた。
柴田はインフルの圧倒的速度を客観的に認識させられた感だった。
一人少なく作業量は多くなるが、遅番は時間に追われることはないので、この一週間はとりあえず何とかなった。
次週、若本が復活してるか不安だったが──。
「ちょ、ウンコ行ってくる」
回復した若本は、この日も快便だった。




