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キカンコ  作者: テンチョウ


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17/24

第17話 ブリブリトイレマン

「これ地元の限定品なんで、どうぞもらって下さい」

 柴田は水谷から缶コーヒーを受け取った。

「あ・・ ありがとうございます」

「いえ。柴田さんには、お世話になってますんで」

 神妙に返した柴田に、水谷は言った。


 缶コーヒーは某有名メーカーの有名ブランドであるが、見ると確かに『北海道限定』の文字が書かれている。

 連休中に実家に戻ってとか、そんなのだろうと思われた。


 しかるに、そこは水谷である。

「どうっすかね? 今、ネットで何でも買えますからね」

 チームの一人は歯医者の件に(かんが)みたか、不審の音を発していた。

「あー」

 そう言われちゃうと、さもありなんではあるが──。それはそれで面倒にも思えて、柴田は曖昧(あいまい)な感じで返した。



 休みのときの話を聞くに、地元民以外の者は大概、実家に帰ったみたいだった。

 坂上などは、バイクで九州の実家まで帰ったらしく。

「それって千キロぐらいあるんじゃないですか!?」

「南の方だから、もっとあるよ」

「うわー」

 なんかスゴい話をしていた。

 黒井は仲の良い寮生と温泉に行ったそうだ。


 皆、それなりに充実した休暇を満喫していたからであろう。

「部屋で、ずっとゴロゴロしてました」

 柴田の言は、軽く顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまった・・



 連休明けからしばらくは、それまで通りの感じで仕事をしていたが、ある日チーム内で配置換えが実行され、柴田のいる黒井班(仮)から水谷が抜け、若本が加わった。


 水谷は、以前何度か応援に行った所の担当となったようだ。

──せっかく覚えたのにな。

 柴田としては水谷に教えた手前、またアドレスや部品ごとの置き方など、覚え直しになるであろう彼を不憫(ふびん)に思った。


 柴田は若本に教えることになったが──。

 若本は柴田から見て、かなり年上で、同時に先輩でもあるから、何とも言えないやりにくさを感じていた。


 しかし、この若本。事あるごとに──。

「ちょっとトイレ行ってくる」

 と、トイレに向かう。

 あまりに多いので黒井が。

「なに、頻尿なの?」

 ド直球の質問をすると。

「いや、ウンコしてますから」

 と返ってきた。

 にわかには信じ難いことであったが、話しぶりから、本当にしているようであった。

 若本曰く──。

「俺、ラインにいたときもよくヘルプ呼んで『またウンコですか』とか言われてた」

 とのことだった。


 そこで黒井が。

「もうトイレマンだな」

 またしてもド直球の渾名(あだな)を付けていた。


 柴田としては。

──もう少し手心を・・

 と思わんでもなかったが、若本は不思議と誇らしげにしていた。

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