第14話 イソイソウィークエンド
週末の朝は早い。
いや、あえて早く起きるようにしているのだ。特に遅番終わりの週末は、週明けが早番であるから、体内リズムを調整したいというのがあった。
柴田が最初にやる事は、洗濯だ。
出玄寮に洗濯機は十台あり。二十四時間、好きなときに洗濯出来る。
しかしながら、時間帯によっては他の寮生と搗ち合うことが間間あり、そうなると時間をずらす事を強いられる。
別段、急ぐわけでもないなら、それならそれで構わんという者もいるだろう。
柴田も最初はそうだった。
だが一度、タイミング悪く、いつまで経っても洗濯出来ずにイライラした経験をしてからは、待たされるのは御免とばかり、いの一番に行動するようになった。
あと気のせいか、洗濯機に個体差というか、微妙にイイのとイマイチなのがあるようで、柴田的には当たりの物で洗いたかったのもある。
洗い上がるまで、部屋で買っておいたパンとかで朝食だ。
この出玄寮は自炊禁止だ。故に、朝食の確保は割と面倒な問題でもある。
平日、即ち仕事のある稼働日は、会社の食堂で有料だが朝食をとることも出来る。早めに出勤して食堂に向かう人も結構多い。
しかし週末ともなると、そうはいかない。柴田の場合、基本的に何か買っておいて食べるという形になる。
ちなみに部屋には冷蔵庫がないので、買い置きの系統は限定される。
時間が来て、洗濯物を取りに行く。
乾燥機は無く、物干し場があるのだが、柴田は利用しない。盗られる心配はそれほどしていないが、なにしろ寮の隣は小学校のグラウンドだ。風が吹けば土埃とかスゴそうに思えて、とても干す気にはならないのだ。
柴田は四畳半の部屋の隅、その上部にフックがあるのに気付いた。備え付けではないようだが、かなり以前からある感じで、おそらく先人がコッソリ付けたのだろう。
そのフックに細いロープを渡し、物干しヒモとして利用している。
干す物干して、少しまったりした後、柴田は出かけた。方向は駅とは反対だ。
出玄寮周辺は田畑が多い田舎っぽいところだが、同時に人口の多さも感じる場所で、休日ともなると車がひっきりなしに走っている。そして、車で出かけた者たちが集まる、郊外型の大型店舗もあちこちにあるのだ。
柴田はその中の一つ、スーパー、百円ショップ、服屋、子供用品店、ホームセンターが一堂に会した商業施設に向かった。
広い駐車場に、警備員までいて、あのライトセーバーみたいので誘導を行っている。見るたんびにスゴいと思ってしまう。
柴田は、服屋をぶらっと見て、百円ショップで小物を買い、帰りにスーパーで昼食用にカップ麺と、ウインナー、クリームパンと色々買った。
寮までの帰り道、表通りを避けて裏道みたいなところ歩いていると。
「おう、柴田」
不意に声を掛けられた。
「あっ、どうも──」
柴田はそれだけ行って、そそくさと立ち去った。
相手は黒井で、彼もまた出玄寮の住民である。他に柴田のチームでは、坂上もまた寮生で、柴田とは同じ階のため、ちょくちょく顔を合わせる感じだ。
特に黒井を避けているわけではないが、柴田の見るところ、黒井はラーメン屋に行く雰囲気を持っていた。
前に一度付き合った限りでは、確かに美味いラーメンだったが、値段的に。
──もういいわ。
と、柴田の中の選択肢から、ラーメン屋は削除された。
よって、望まぬ出費を回避するため、速やかなる帰還を実行したのだ。
部屋に戻った柴田は。
──これで十分でしょ。
と、ウインナー入りカップ麺を啜りながら思った。




