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キカンコ  作者: テンチョウ


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13/23

第13話 ホラホラデンティスト

 遅番の朝礼。いや、正しくは昼礼になるのだろうが、作業前の出勤確認と連絡事項のとき、サブリーダーが。

「えー。水谷は欠勤です。なんか歯医者に行きたくて、予約が取れないからとかいうんで、休みたいと連絡がありました」

 と報告した。


──う~ん・・ なんだかな~。

 柴田は首を(かし)げる。

 歯医者など午前中なら割と簡単に予約が取れそうな気がする。よしんば午後のみしか無理だったとしても、あらかじめチームに相談してしかるべき話である。

 このちぐはぐさというか、要領の悪さが、(かたく)なに台車を逆向きに押そうとする水谷の姿とダブって。

──らしいといえば、らしい・・

 妙な納得感をもたらしていた。


 とまれ──。一人いないのねって話で終わるかと思ったら・・


 チームの一人が。

「俺、パチンコ屋で見ましたけど──。水谷のこと」

 と、言い出した。

「それって、いつ? 今日の話?」

 坂上が聞く。

「今日です。一時ぐらい。俺、もう帰ろうって思ったら見かけたんで。たぶん間違いないです」

「オイオイ、マジかよ──」

「あの野郎~、サボりか?」

 言ったのは黒井だ。彼はやや癇癖(かんぺき)なところがあり、サブリーダーも黒井の機嫌か何かを察したのか。

「まぁ、それはまだわかりませんから。このことについては、時間を作って聞いてみますんで。とりあえず今日はいないという事で、よろしくお願いします」

 なだめるような感じで言っていた。

 黒井の方も、気を使われてるのがわかったのか、それ以上何かを言う事はなかった。




 後日、水谷に聞き取りが行われたようで、パチンコ屋で見たという証言があることを指摘すると、歯医者に云々(うんぬん)というのは嘘であったと吐いた。

 サブリーダーが黒井と話してるのを柴田も聞いたが、そこで。

「魔が差したって言ってました」

「なにが、魔が差したよ。ふざけやがって──」

「まぁ、厳重注意ってことで」

 そんなやり取りがなされていた。


──休んでもいいみたいな、あれかも。

 柴田は思った。

 このところ、チームの人間が休んだり、遅刻したりというのが続いた。

 無論それは理由があることであるが、どこか、理由さえあればOKみたいな認知が形成されてたのではないかと考えた。

 ()くいう柴田も薄ら感じていた程なので、トンチンカンな水谷ならば、なる(べく)くしてなったという感であった。


 なんにせよ。この日は別班に有給をとった者がいて、水谷はそっちの応援に行って柴田たちとは(から)みはなかった。


 柴田は密かに。

──黒井さんと接点作らないようにしてんじゃないのか?

 サブリーダーたちが、トラブらないよう配慮した可能性を想像していた。

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