表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だるまさんは転ばない 〜蜜柑山 博のリトプス1施工日誌〜  作者: 蘭鍾馗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

【改良ダリアン暦103月25日】太田さんは上棟式がしたい その1

「ミカン。」



 ◇



 それやめてって言ってるでしょ。

「だって発音しにくいんだもん、mikan-yamaって。」


 外構建設班のラウラさん、僕のことをこう呼ぶのである。

 いくらなんでも「ミカン」はないだろ。犬か猫の名前みたいじゃないか。


「mikan-yamaって英語で”orange mountain"って意味だったっけ?」

 そうだけど。

「オレンジじゃ駄目?」

 うん駄目。

「じゃあ、ミッキーでどうよ?」

 ……まあ、それくらいならいいか。

「よし、決まりね。」


 そんなわけで、ラウラさんは僕のことを「ミッキー」と呼ぶことにした。そしてそれはあっという間にコロニー内に広まり、以来、僕の名前はすっかり「ミッキー」になってしまった。



 ◇



「ミッキー。」

 太田さんまで。

「ごめんごめん。でもいい名前じゃないか。」

 そう?

「それでなミッキー。」

 はいはい。

「今、本施工区の洞窟の天窓に採光用のガラスドームを固定してるだろ?」

 してますねえ。

「あれ、あと3日で全部終わるんだよ。」

 全部でいくつあるんでしたっけ?

「26個。」

 すごいなー。

「それでなあ、ミッキーにひとつ相談があるんだよ。」

 何でしょ?


 ここで太田さんは一呼吸おいて、僕に向かって想定外の言葉を発したのである。


上棟式じょうとうしきをやりたいんだよ。」

 馬鹿じゃないの?

「餅、撒こうよ。」

 …………



 ◇



 太田さんのこの話には、もちろん幾つかツッコミ処がある。


 ひとつ。採光ドームは屋根じゃないから『上棟式』になんないし。

 ひとつ。餅どうすんの?

 ひとつ。それどこから撒くの?

 ひとつ。相談する相手は僕より大アルバートの方が良くない?


 まあでも、太田さんのロマンもわからない訳じゃない。想像するとなんか楽しそうだしね。


 とりま大アルバートに相談してみましょうか。

「うん、じゃあミッキーお願い。」

 僕がやるんかい。



 ◇



「オオタさんにも困ったもんだよなー。」

 ほんとほんと。


 太田さんの話を聞いてから、その足で僕は管理部に相談に行った。だってやるの3日後だよ?すぐに相談しないと色々と間に合わない。

 でも、管理部チーフの大アルバートは、別に驚いてないようだった。多分、一度遠回しにこの話をしてるんだろう。で、僕を相談に行かせたってことは、きっと一度断られてるね。子供か。


「でも、やってみるもの面白いかもね。」


 忘れてた。彼もイベント大好きなんだった。『余剰電力どうするか会議』とかイベントみたいにしちゃった実績がちゃんとあるし。

「餅はソフィさんに相談するとして、問題は撒き方だよね。」

 そう、それ。

「採光ドームの上には危なくて立てないから、タイプ2の屋根の上から撒くか。」

 うん、多分それしかないよね。

「やろうぜ。」


 結果ヤブヘビだった。大アルバートが乗り気になっちゃった。


 

 ◇



 次回、火星史上初の上棟式、開催。

 刮目して待て。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ