【改良ダリアン暦103月4日】だるまさんの独白と蜜柑山 博の状況説明
「Vermilion noon,indigo sunset 火星コロニー『リトプス1』の日常」の続編になります。今度は視点をミカンヤマ技師に固定しての物語。何故かだるまさんも出て来ます。さてどうなりますか。
わしは、だるま。
正確に言うと、高崎名物のあの弁当のカラじゃ。そうそうあの赤いあれな。
中身を食べられたあと、暫く貯金箱として使われておったが、ある日、小学生じゃったひろしがとうちゃんからわしを貰い受けて、それ以来色んなものに改造されて遊び倒された。ラジコンカー、ホバークラフト、変な飛行機、最後はル◯バの猫避け。まあ、いちいち説明しておると長くなるから、詳しいことは「ひろしのだるまさん魔改造記」を読んでくれい。
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で、今は、ひろしの手で目覚まし時計に改造されて、火星に建設中のコロニー『リトプス1』のひろしの部屋の本棚に置かれておる。ひろしが火星に赴任する時、わしも一緒に連れてきてくれた。
わしは多分、一番遠くまで来ただるまじゃろうな。
ひろし、話のツカミはこんな所でいいか?
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はい、ありがとう。
蜜柑山 博です。
まずは状況説明から。SFってこれがあるから面倒くさいんだけど、もうちょっとお付き合いください。
ここは火星。オリンポス山の東麓あたり。このあたりはオリンポス山の溶岩が流れ出して出来た古い溶岩台地。この溶岩台地の地下にある溶岩洞窟を利用して、いま300人くらいが生活できるコロニーを建設中。
で、僕がいるこの部屋は、規模の小さい試験施工区にある。本施工区に隣接したこの試験施工区は、先行して短期間で作られたもので、コロニーの建設に携わるメンバーは、ここで暮らしながら本施工区を作っている。そしてそれはそのまま、本施工区の運用に先立った居住実験の場にもなっている。
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と、簡単に書いたけれども、実際には大変だったのである居住実験。当初の想定の甘さから重大なインシデントも発生した。でも、それを何とか乗り越えて、今は火星での長期的な生活がようやく現実のものになってきたという実感がある。
次の目標はスケールアップだ。
本施工区が完成すれば、試験施工区と合わせて350人が暮らせる空間が出来上がる。街というにはまだ小さいが、まちづくりの実験ができるくらいの規模にはなってくる。
そのためには、まずはこの本施工区を完成させなければなにも始められない。責任重大である。
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僕の専門は土木機械だが、これまでに測量や設計、果てはドローンや航空機の制作にまで関わってきた。何しろ人数が少ないから、行きがかり上いろんな分野に関わらざるを得ないのである。
正直、大変。でも楽しい。こんな楽しい仕事はなかなかないだろうと思う。
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そんな感じで、蜜柑山 博といういち土木技師の視点から、この火星コロニー『リトプス1』の完成までの様子を追いかけてみたいと思う。
時には『だるまさん』の視点も借りながら、ちょっと新鮮な切り口で書いていけたらいいな。
では、よろしくお願いします。




