【改良ダリアン暦1年118月18日】明けない夜のために その2
はい、今回ある大ポカに気づいてしまいまして、全話ep.タイトルの日付を修正しました。詳細は後書きで。
「それがね、傑作なのよ……」
◇
食堂で遅い昼食をとっていたら、ラウラさんに捕まってしまった。彼女、最近ちょっと話が長いのである。
ラウラさんさ。
「何?」
最近暇なの?
「……うん。」
まあ、外構工事があらかた片づいちゃったしねえ。
「採光ドームと太陽光パネルが出来上がったら、もう大物残ってないからね。」
内殻の建て込みも昨日で終わったしねえ。
「そうなのよ。仕事頂戴。」
内構工事とか配管工事は?
「専門外ね。細かいのは苦手なのよ。」
じゃあ作るしかないか。
「何を?」
仕事(笑)。
「何かネタある?」
そうだなー。
「外構と外殻はもうあらかた工事済んでるのよね。」
そうだ!
「何かあった?」
散歩コース作ろう。
ー 爆笑 ー
「……でもいいかもよ、それ。」
散歩活動提唱者のアルフォンソ先生監修でさ。
「体力面はトーマス先生監修ね。」
それいい。生活会議で提案しよう(笑)。
後日、この冗談は実現することになる。
◇
まもなく、二度目の明けない夜が来る。
火星の「明けない夜」は、近日点で夏を迎える火星の南半球から始まる。火星の公転軌道は地球よりも強く歪んだ楕円を描くため、近日点と遠日点で太陽から受け取る熱量に大きな差があり、そのため北半球と南半球では気候が非対称になるのだ。
遠日点で夏を迎える北半球よりも夏の地温が上がる南半球では、極冠のドライアイスが盛大に昇華するため、それが上昇気流となって砂嵐があちこちで起こる。この極冠の大きさも、遠日点で冬を迎える南半球のほうが大きい。その大きな極冠が気化することで北半球よりも規模の大きな砂嵐が起き、気圧が急上昇する。
そうして、南半球の砂嵐は合流して大規模化し、やがて火星の大半を覆うようにして、北半球へと襲いかかる。この大規模砂嵐が太陽光を遮ることで、昼間でも夜のように暗くなる「明けない夜」が始まるのだ。
前回は、「明けない夜」に伴う太陽光発電の停止と蓄電設備の容量不足のため、もしかしたら全員死ぬかも知れないと思いながら過ごした、不安で心細い2週間だった。
地球からの観測データによれば、今回の「明けない夜」は、前回よりも長い、約30日に及ぶと予測されている。
だがしかし、今回は、前回と違って準備が出来ている。クルーが増えてもブルーローズの発電量にはそれを上回る余力がある。電力使用を節電モードにする必要はもうない。照明を使えば内構工事は継続して実施できる。
ただ、外構工事と調査は出来なくなる。だが外構工事はもう殆ど終了しているから工程には影響しない。調査はまあ仕方がないが。
ということは、調査部が暇になるのだ。
◇
じゃあさ、何かやるよね調査部?
前回、今は地球でいうと3月頃で、これから気温が上がって南半球で極冠のドライアイスが気化きて砂嵐が起こり……これが北半球に波及して「明けない夜」が起こる、なんて書きましたが、北半球春だったら南半球は秋。これから気温下がるじゃん……。
はい。従って「明けない夜」が起こる時期には、北半球は秋でないといけませんね。お詫びするとともに、各ep.の日付を訂正いたしました。腐ってもSFですから、こういうリアリティは大切にしたいので。




