面接と僕の夢
翌日、筆記と面接試験の日だ
マリー達は今頃、紙と睨めっこかな
僕は推薦なので、面会室に案内された筈だが……
ここ…面会室じゃない、学院長室だ…
ドア越しから感じる魔力…間違いない…あの時の…
僕は深呼吸をし、ノックをした
「入ってくれ」「…失礼します」
ドアを開けるとそこには…
あの時の、初めての依頼主の老人が座っていた。
「貴方がハヌス様…」
「ほほ、そうじゃ。ふん…その反応は。」
「ソルネンにネタバレされた様だな」
「まあ、はい」
面談だと聞いて緊張していたが、なんだが雰囲気が軽いな…
「あの時の老人が実は…とかでびっくりさせたかったのう」
「十分、驚きましたよ、ハヌス様」
「ほほ、まあそんな話はさておき、まずはありがとう。ノアよ」
「えっと…」
「依頼の事とこの老人からの推薦を受けてくれたことだ」
「…依頼の方は仕事なので当然ですが、推薦の方はお礼を言うのは僕の方です」
「…なぜじゃ?ソルネンの元で教えを受けておるのだろう?
この学院に来る理由はないじゃろう」
「…僕は魔術を単体で扱えないのです」
「ほう、あんな素晴らしい魔法を使っておいてか…」
「僕はあまりにも長く師匠の背中を見てきたせいか、
魔術の式が空中にあるイメージができないのです。」
「僕にとってこの学院は新たな風を吹かせるための場所であり、
この推薦状はそこに行くための切符になってくれたのです。」
「ほほ、この学院をそのように思ってくれていることは嬉しいのう。
おっとしまった、かなり話が逸れてしまっていた。」
部屋の空気がグッと重くなる。
この人の魔力で押さえつけられるような感覚だ。
「ノア・リクヴァよ、お主の魔法の源…夢はなんだ」
これは生半可な解答では許されぬ雰囲気だ。
だが、真であるなら構わぬだろう。
なぜこの道を、この夢を、魔導具師を目指したのかを思い出す
「…僕にとってこの世界は余りにも理不尽です」
「この世で身を守る為には"魔"が必要ですが、
魔法も魔術も才能が必要です。
…もし才能がなければ人はどう生きればいいのでしょうか。」
「…それは」
「簡単すぎますね、…この世界では生き残れません。」
「魔術が使える者に護衛を任せるのも手でしょうが、ずっとはできません。
24時間ずっと…だなんて無理ですから」
「…」
「ですが…魔導具なら才能なんて関係なく…魔力さえあれば効果を発揮できます。
24時間、手に届く場所にあるだけでいい
僕は魔導具でほんの少しでも、理不尽な目にあう人が減って欲しいだけです。」
これが僕の本音…あの日に誓った夢だった。
母と父が僕を連れた旅の途中で、目の前で魔物に殺された日
師匠に初めて会った日、そして師匠の弟子になった日
あの時の無力な自分が叶えると決めた夢だった。
「…いい夢じゃな」
「ありがとうございます。」
「うむ…面接は以上じゃ」
「もう?」
「ほほ、この面接の目的は果たしたのでな」
「…では、失礼します」
「おっと最後に一つ……実戦を楽しみにしておるぞ」
何か含みがあるような…
「期待に応えれるよう努力します」
「ではな、ノア」
「はい、失礼しました」
面接はすぐ終わったが、すごい疲れたな
帰ってゆっくり休むとしよう
それにしても実戦か〜…
魔導具を調整して、魔法道具をもう少し調達しておくか
そんなことを考えながら宿に帰るのだった。
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