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九十七話目



私達は二時間ほどバスに揺られて、岡山県についた。ついたとはいっても科学センターに来たわけではなく、また別のところ。ただ岡山県に入っただけであって、高速道路を降りたわけではない。私達は、お昼が近いからという理由でサービスエリアにやってきていた。


「それじゃあみんな、だいたい今から1時間後くらいにはここに戻ってきてね。遅くても1時間半だからね」


バスの中、一番前で怜奈先生が立って私達に呼びかけている。私はそれを見ながらサービスエリアの方をチラ見する。

多分、御手洗とかも諸々込みでこの時間なんだろうね。

そんなことを呑気に考えていると、みんなが動き始めた音がした。


「優月ちゃんは行かないの?」

「・・・行くよ」


私は癒音ちゃんに呼びかけられて、つけていたシートベルトを外す。前にかけていた貴重品を入れたバッグを手に取って、肩からかける。私達はバスから降りる。私はバスから降りてすぐに体を伸ばす。


「んー!やっぱり座ってるだけだと体がしんどいね・・・。肩とか凝りそう・・・」

「アハハ。でも他にどうしようもないでしょ?」

「そうなんだよね・・・。移動するとしたら絶対、学校で借りてした方がいいし」

「なら諦めなさい」

「千波弥。だとしてもさー」

「はいはい。ともかく向こうに早く移動しなさい。後ろがつっかえるでしょ?」


私は千波弥に言われて、癒音ちゃんと一緒に駐車場を抜けて建物の方に向かう。建物の方に向かって、中に入る。中に入ってすぐに、私達はフードコートの方へ向かう。


「さてと・・・あまりお腹すいてないんだよね、これが」

「えぇ・・・。どうするつもりなの?」

「ぶっちゃけたら食べる気ないんだよね」

「だとしても何か食べろよ・・・」


後ろから声をかけられた。後ろを振り向くと、零夜が呆れたような顔で立っていた。


「大丈夫。カロリーメ〇トモドキがある」

「それはそれでどうなの・・・?」

「口に含めば問題ないならこれでもいいはず。違う」


零夜はため息をついた。それを見た癒音ちゃんがなんとも言えない表情で私と零夜のことを見ている。


「・・・蒼乃くんたちも苦労してるんだね」

「分かってくれるか・・・」

「まぁ、流石に驚きはするけど・・・過去に優月ちゃんみたいな子がいたからね」

「なるほどな」

「それで?二人は何か食べるの?私は食べるつもりないんだけど。あれで済ますつもりだし」

「お前なぁ・・・。はぁ・・・。琴吹。俺は適当に食べてくるからコイツのこと頼むわ。最悪千波弥捕まえといていいから」

「わ、分かった」

「迷惑かけるなよ・・・」

「分かってるよ!!」


私は零夜に少しキレたように返す。零夜は片手を振りながら私達の元から食券機の方に向かっていった。すると、入れ違いで千波弥と水雫ちゃんが一緒にこっちに歩いてきている。


「珍しい組み合わせだね?」

「否定はしないわ。それと・・・優月、どうするつもりなの?貴方、絶対お腹空いてないでしょう?」

「そうなんですか?」

「えぇ。この子、行く直前にあわててかきこんだから多分お腹すいてないわよ」

「よく分かったね。そうだよ。零夜にも言ったけどコレで済まそうかなって」

「・・・・・・貴方ねぇ・・・。少し何かちゃんとしたもの食べなさいよ・・・」

「でもねぇ・・・はぁ。とりあえず私と一緒に来なさい。何か少しでも食べさせるから」

「・・・分かった」

「扱い慣れてるね、千波弥ちゃん」

「いつものことだから」


私は千波弥に連れていかれる。あとから癒音ちゃんと水雫ちゃんも追ってきている。三人が食券機で券を買ったら席を探す。席を探して、空いてるところに座り、モニターに映されるまで待機する。


「別にいいのに・・・」

「また私や零夜のところの親に言われるわよ?それでもいいなら何もしないけど」

「それは勘弁して。本当にやだ。お願いします、言わないでください」

「凄い、手のひらクルクルですね・・・」

「そりゃあね・・・。バレたらいつも限界以上に食べさせられるし、止めてくれないし。そのせいかいつもいつも体調崩すし・・・」

「えっと・・・お疲れ様です」


そんなことしている間に三人が買ったものの番号がモニターに表示された。三人はそれぞれ取りに向かう。三人は戻ってきて食べ始めた。すると、千波弥が私の前に自分のトレイの中にあったものを一つ渡してきた。


「それくらいなら大丈夫でしょう?食べなさい」

「・・・・・・はい」


やっぱり千波弥達には頭が上がらないから素直に言うことを聞く。聞かなかったあとが怖いから。千波弥は自分のとは別で箸を一膳持ってきていたのでそれを渡してくる。私はそれを使って食べ始める。


「・・・千波弥先輩の言葉はちゃんと聞くんですね」

「色々あったからでしょうね。それにこの子、私と零夜には頭が上がらないはずだから」

「なんとなく理解したよ。それは頭が上がらないね・・・。どんまい、優月ちゃん」


癒音ちゃんの慰めが地味に刺さる。私は癒音ちゃんの言葉を聞かなかっつ振りをして千波弥が渡してきた分を食べ進める。





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