九十二話目
その後、適当にスリコなりなんなりのお店をふらついてお昼までの時間を潰している。今は水雫ちゃんと璃空ちゃんが買い物に行っているのを四人で待っている。この際だからと思い、私は三人に問いかける。
「今、私のこと知ってる人しかいないから聞くんだけど・・・」
「どうした?」
零夜が通路のガラス張りになっている手すりのところに斜めった状態で聞いてくる。千波弥と癒音ちゃんは普通に立った状態で耳を傾けてくれている。
「いやさ、向こうで説明するのは決めたけど今日って高等部の全員が集まってるじゃん?」
「一人中等部の子がいるけどね」
「貴方の妹なのにまるで他人のように言うわね・・・」
「それは気にしないお約束。それに私達の間だと結構こういうのあるよ?」
「それでいいの・・・?」
「いいでしょ。これで今までやってこれたんだし問題無し!」
「そ、そっか」
私は引きつった笑いをする。
「それで?集まってるからどうしたいんだ?一人例外はいるが」
「うん、それは気にしないこと。それで、相談なんだけどもう高等部のみんな・・・。知ってない橋本くん、藤宮くん。それと水雫ちゃんにはもう教えていていいかなって。で、してもいいかなっていう相談」
「なるほどな・・・」
零夜は顎に右手を当てて考え始める。千波弥の方を見るとなぜか驚かれていた。癒音ちゃんは考えているように見える。
「千波弥、なに?その顔・・・」
「いや、だって貴方がちゃんと相談するなんてって思って・・・」
「酷くない!?私だって成長してるんだよ!?千波弥から見て私は何歳の時から成長が止まってるようにみえるわけ!?」
「少なくとも今までのことを踏まえたら無理よ。振り返ってみなさい。相談した事何回あったのかしらね・・・?」
「・・・・・・えっと・・・」
私は千波弥に見つめられて目を泳がす。思い出しているけど、基本独断で動いてることが多い。相談した覚えがあまりない。
「そういうことよ。だから驚いていたの。それと・・・零夜。どう思うかしら?考えるのは終えたみたいだけど。それとも・・・癒音から先に聞いた方がいいかしら?」
「えっ!?私!?」
「そうよ。貴方だって考えていたみたいじゃない?零夜は見ていなくても雰囲気で分かるけど、貴方は比較的分かりやすいわよ?懐に入ればだけどね」
「そ、そんなに・・・?」
「私もそれは否定しないかな〜。癒音ちゃん、比較的分かりやすいし。まぁ、私達だからそう言えるってのはあるけど」
「どういうこと・・・?」
「それはまた後で。先に教えていいかどうか癒音の考えを聞かせてくれる?」
「なんかはぐらかされた気がするけどまぁいいか。それで私の考えは優月くんがいいのならしていいと思ってるよ」
「零夜はどうかしら?」
「いいと思うが、結局は優月がいいたいかどうかだ。だからお前の自由にさせる」
「そっか・・・なら言う。みんなのタイミングを見て言うね」
「分かったわ」
私の相談を終えて、私達のこの話が終わるのと、同時くらいに水雫ちゃんと璃空ちゃんが戻ってきた。
「買ってきたよ」
「みたいだね。少し時間がかかったね?」
「うん、混んでた。だから少し時間がかかった」
「なら仕方ないね」
「それで、優月ちゃんに千波弥ちゃん。私が分かりやすいってどういうこと?そんなに顔に出すことないと思ってるんだけど?立場的に」
「そりゃあちゃんと隠せてるよ。隠せてるけど私達から見たら、色々と知ったから分かりやすいって感じ」
「私達はアレだもの。優月のせいで人間関係や人のことをよく見ることになったせいで色々と読み取れるようになったの。喜んでる、悲しんでるとかの感情と、嘘ついてるかどうかをね」
「それで分かりやすいって?」
「そう。なんなら零夜も分かるんじゃない?零夜、どう?」
「そこで俺に振るのか・・・いや、分かるけども」
零夜は私達の方へ振り向いて、呆れた声で返してきた。話の流れが掴めていない水雫ちゃんと璃空ちゃんは不思議そうに私達のことを見つめている。
「えっと・・・お姉ちゃんと先輩達はなにを話してるの?」
「私の感情とかが読みやすいって話だよ、璃空」
「え!?お姉ちゃんの!?お母さんやお父さん、宮葉さんからも隠すのは上手いって言われたあのお姉ちゃんの!?」
「そんなこと言われてるんですね、癒音先輩・・・」
「みたい。詳しく聞いたことないからよく分からないけど自信あったのになぁ・・・。少しショック」
「まぁ普通は分からないわよ、きっと。私達三人が異常なだけで」
「あんまり言いたくないけど異常だとは思うね。特に私は」
「貴方は例外でしょう、優月。たまに私は貴方が怖いわ」
「なんで!?」
「たまに心の内を見透かしてくるじゃない」
「それはたまたまだよ!?」
「だからたまにって言ってるじゃない」
私は千波弥の言葉に対して少し考える。
それは幼馴染だからだと思うんだけど・・・。初めて会った人なら全然分からないし・・・。嘘ついてるとか、本音は別ってのは分かるけど・・・。
「ま、まぁまぁ優月先輩」
「あまり納得できないけど分かった。とりあえずそろそろお昼だしフードコート行こっか。向こうも居るか、来るでしょ」
「だな」
私達は、私達の今いる場所から反対側にあるフードコートに向けて歩き始めた。




