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九話目




side癒音


───コンコンコンッ。


「お嬢様、夕食の用意ができました。理音様達はすでに揃っております」

「分かった。すぐ向かうね」

「かしこまりました」


琴吹家に代々仕えている執事の宮葉さんが私の部屋をノックして、部屋にいる私に伝えてくる。私が返事を返すと宮葉さんは去っていった音がした。私は座っていた椅子から立ち上がって、通路に出る。


私は、この広い自宅の中にあるリビングに向かう。私はたどり着くと扉を開けて中に入る。中に入ると、お父さんとお母さんは席に着いていた。お父さんは空いた扉を見て、私のことを見てから微笑んだ。


「先に癒音が来たんだね」

「うん。璃空は?」

「宮葉さんがちょうど呼びに行ってるところよ」

「そうなんだね!」


私はお父さんにこの場に見当たらない妹のことを聞く。すると、お父さんじゃなくてお母さんの方が先に答えた。私はお母さんの言葉を聞きながら席に着く。


席に着いてすぐくらいのタイミングでリビングの扉が勢いよく開かれる。開かれた扉の前にいたのは青色の髪をポニーテールに結んでいる璃空だった。


「相変わらず元気だね、璃空」

「・・・・・・もう少し落ち着いて開けなさい。ドアが壊れそうで不安だわ」

「はーい!」


お母さんはこめかみを抑えて璃空に苦言を呈す。璃空はそれに対して元気よく返事を返しながら席に向かっていく。お父さんはそんな璃空のことを私の時と同じように微笑んで席に着くのを見ている。


璃空が席に着いたのを確認したら、璃空と一緒に入ってきた宮葉さんが食堂の方へ向かっていった。


(今日は祝日だからお母さんのご飯だね)


私の家は、平日は雇っているシェフが作ってくれている。代わりに土曜日や日曜日の祝日はお母さんが作ってくれる。平日だとお父さんもお母さんも会社の方が忙しくてそんな時間が無いからね。


そんなことを考えていると宮葉さんが食堂の方から夕食を持ってきてくれる。宮葉さんが私達の前にご飯を置くと、私達に一礼して食堂の方へ下がって行った。


「それじゃあ食べようか。いただきます」

「「「いただきます」」」


私達は箸を持って食べ始める。私達が食べ始めると、お父さんが私に聞いてくる。


「ところで癒音。今日は楽しかったのかい?」

「遊びに行ったこと?」

「うん。そのことだよ。少し気になったからね。癒音が気にかけてる子も居たみたいだし」

「それなら・・・もちろん、楽しかったよ!」


私の家では食事会とかではない限り、ご飯の最中に話していても問題ない。まぁ、もちろんお食事会とか招待された場所では静かにマナー通りに食べるけどね。


私はお父さんから聞かれたことに対して満面の笑みで答えた。そんな私のことを見て、お父さんは少し驚いたように見てきた。


「その顔は何?」

「いや、癒音がそこまで言うのが珍しくてね。友達と遊びに行ってそう言うのは中々無かったからね」

「確かにそうね。癒音にしては珍しいわね」

「お母さんまで・・・」

「お姉ちゃん、家に帰ってきた時ご機嫌だったもんね!」

「璃空!?」


(お父さん達の言いたいことは理解できるけど、さすがに酷くないかな・・・?)


私は璃空に見られていたことに驚いた。私が帰って来た時、見える範囲に璃空は居なかったはずだから。


「気になってた子はどうしたのかしら?」

「・・・流石に皆の前では言えないよ。だから、また別の機会に・・・って感じだよ。まぁ、一応あの子に味方とは伝えたけどね」

「それなら上々ね。伝えることが出来ただけでも上出来よ」


お母さんは私のことを見つめながら言ってくる。私はお母さんの言葉に頷いて返しながら食べ進める。


「何だっけ?お姉ちゃんが気にしてる子って。確か女装?してるんだよね」

「うん。なんでしてるかの理由は知らないけどね。あの様子だと少人数はその理由を知ってる感じがあったね」

「へぇ〜」


璃空が私に聞いてくる。珍しく私が家の力を使って人のことを調べていたから璃空も気になってるみたい。


「そういえばお姉ちゃん。今日遊びに行ったのって新しく入った部活の人達とだよね?」

「うん。それがどうかしたの?」

「う〜ん・・・。璃空ね、今の部活も飽きちゃって・・・。だからお姉ちゃんがいる部活と何処か兼部しよっかな〜って考えてるんだ」

「別に来てもいいけど・・・タイミングはズラした方がいいと思うよ」


私は食べ終えた食器を、璃空と一緒に洗い場に持って行きながら言う。


(この子はもう・・・。天才だから仕方ないのかも知れないけどね・・・)


私は璃空が飽きたってことに“まただ”と思いながら璃空のことを見る。


私の妹、璃空は俗にいう天才である。何かをすれば1週間足らずで全てこなせるようになり、1ヶ月もあればアニメの世界でしか見たことがないプレイをする。だから周りからは畏怖と尊敬、そんな目線で見られていることが多い。


都会に行くとスタイルも良いのでモデルやアイドルに誘われているけど、いつも面白くないって言っては断っている。


そんな妹だけど、私達の学校・・・つまり、伊予北中等教育学校の中等部に在校している。だから、私の交友関係も軽くなりとも知っているし、私が高等部で何と呼ばれているかも知っている。


「だったらタイミングはいつがいいの?」

「6月以降ね。今月は色々とあるみたいだから多分時間が無いと思うよ」

「そっか・・・分かった。それじゃあ6月になったら璃空のクラスにいる子に話をつけて行くからね」

「分かったよ。私も軽く話しておくね」

「ありがとう!おねーちゃん!」


私達は食器を洗い場の水につけて置いて通路に出る。私達は通路に出てから自室に向かって行く。それから、私の自室よりも手前にある璃空の部屋に着き、私達は別れた。その後、私は自分の部屋に入って、ケープレットを持って再度通路に出る。


通路に出た私は庭を一望できるベランダに足を運ぶ。私はケープレットを羽織ってベランダの扉を開けて出る。ベランダに出た私は、夜空に照らされている庭を見ながら決意するように言う。


「絶対に・・・・・・救ってみせる・・・!彼女のようにはさせないために・・・!」


私が誰もいない夜空に呟き終わり、少し庭を見ていると後ろから気配を感じた。私は振り返る。


「お母さん・・・」

「こんなところで何してるの?いくら暖かくなったとはいえ、夜はまだ寒いのだから早く部屋に戻りなさい。風邪を引いたら大変だから」

「・・・分かったよ」


私はお母さんに言われて家の中に入る。入って、ベランダの扉を閉めて自室に向かう。


心に1つの火(決意)を灯して。








本日も数あるWeb小説の中から私の作品を読んでくれてありがとうございます!これからも週2投稿を掲げて頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします!




よろしければ是非、下の評価マークを☆☆☆☆☆➞★★★★★にしてください!




では次回の話しでお会いしましょう!

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