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十話目




「ん、ッ・・・・・・」


僕/私は目を開く。


「ここは・・・・・・?通っていた・・・小学校・・・・・・?」


僕/私は目を見開いて驚く。零夜達とどうするか決めてから家に帰って寝ていたはずだから。僕/私は顔をつねる。


「いた・・・くない・・・・・・ってことは・・・夢・・・?」


僕/私は気付く。だとしてもなぜ、ここまで意識がはっきりしているのか。なぜ、小学校の運動場なのか。


僕/私がそう考えていると景色が暗転し、次の場面に変わった。


「今度は・・・家・・・!?」


僕/私は今でも住んでいるからすぐに気付いた。けれど、今とは違う。昔のような、ちゃんと生気が感じられる家。


「おにーちゃーん!」

「ッ!」


僕/私は振り返る。そこには、妹の知奈がいた。知奈は僕/私に向かってくる。僕/私は膝を床につき手を広げる。知奈は僕/私に向かって来たので、僕/私は抱きしめようとするが、すり抜けた。


「・・・・・・ハハッ」


乾いた笑いが出た。僕/私は後ろを振り返る。そこには、幼いけど、確実に僕/私としての面影がある自身の姿。


「・・・だよな。そうだよね。これは夢。知奈が・・・知奈達が・・・な・・・」


僕/私が自嘲気味に言ってると、また景色が暗転する。


「また・・・?」


次の場面は学校だった。しかも、最初にいた小学校だ。しかし、先程の運動場とは違って教室の廊下だ。


僕/私は周りを見渡す。すると、後ろから声が・・・呻き声と罵声が聞こえた。僕/私はそちらの方へと振り返る。


「キモイんだよ!」

「死ねよ!」

「疫病神ー」

「ごめんなさいっ・・・ごめんなさいっ・・・」


そこには、殴られたり蹴られたりしている子が居た。いじめられている子は複数人にイジメられていて、ただただ謝っていた。


僕/私はその様子を見て顔を青ざめる。なぜなら、そのいじめられている子は僕/私だから・・・。


───パキンッ・・・


僕/私はその様子を見ていると、僕/私の耳に何かが割れたような音を拾った。それが何かは僕/私には理解出来なかった。


また、景色が暗転する。今度は、僕/私は空に浮いていた。下を見ると、一台の車が道を走っていた。僕/私はその車に見覚えがあった。その車は、僕/私達が家族で出かける時に使っていた車だった。


そして、僕/私は周りの風景を見て気付く。車は満開の桜が咲いている道を何事もなく進んで行っている。


僕/私はその車に警告したかった。けれど、声は出ない。夢だからか、はたまた見せつけるためか。僕/私は何事もなく進んでいき、青に変わった交差点で、赤信号に変わったのに気付いていないトラックとぶつかった。


車は吹っ飛ばされて行く。近くにいた人や、車から人が降りてきてその残状を見る。ある人は通報を、ある人は野次馬で撮影を、ある人は助けようと車の方に近づいていく。


すると、僕/私は体が引っ張られる感覚にあってその時、車に乗っていた子に乗り移ったような形になる。


僕/私は意識だけはハッキリしている。けど、何も出来ない。体を動かすことは出来ない。ただ、ただ見ているのみ。


乗り移った子は隣にいた少女の手を握っている。


「ッ・・・・・・!」


僕/私は目を逸らしたくなった。この日の記憶は思い出したくない出来事だから。覚えていたくない、忘れたい記憶。隣の少女は妹の知奈。前に座っていたのは両親。


両親は既に息絶えているようで、頭から血を流しており、他のところからも血が流れている。目から光はなく、それが息絶えたことを物語っていた。


僕/私はまだ比較的マシではあった。隣の知奈は微かにだけど息をしていたからしっかりと手を握っていた。すると、外から扉を開けられて僕/私と知奈を車から引っ張り出した。


僕/私もこの時は頭から血が出ており、意識も朦朧としていたが軽く周りの声は拾えていた。


「ガスが漏れてるぞー!」

「気をつけろー!」

「ヤバい引火した!」

「離れろー!爆発するぞー!!」


───ドカーン!!!


僕/私はその音を聞くと同時に意識を失った。それと同時に僕/私は空中に放り出された。


放り出されてすぐにまたもや景色が暗転した。


次の場面は、白い天井に白い壁・・・。


「病院・・・・・・」


僕/私は白い壁に囲まれた部屋で思いつくのは病院以外思い当たらなかったからそう呟いた。周りを見渡すと、ベッドの上に知奈がいた。その隣ではベッドに腕組みをした手を乗せていて、その上に頭を置いて寝ている自分。


またもや場面が入れ替わる。次は同じ病院、同じ部屋だけど僕/私達以外の人が居た。僕/私達の担当をしてくれた人だ・・・。昔の僕/私と知奈、2人とも起きていてその人の話を聞いている。


「本当に・・・助からないんですか?」

「最善を尽くしましたが・・・」

「ッ・・・!」


昔の僕/私は手を握りしめる。そんな昔の僕/私に向かって、知奈が呼びかける。


「お兄ちゃん、仕方ないよ。ね?」


知奈は力なく笑う。昔の僕/私に心配させまいと。


また暗転する。次の場面は、病院にある外の広場で、車椅子に乗った知奈を昔の僕/私が押している場面だった。


「お兄ちゃん」


知奈が押している昔の僕/私を呼ぶ。昔の僕/私は車椅子を止めて知奈のことを不思議に見る。


「お兄ちゃんもなんとなくだけど、気づいてるんでしょ?」

「・・・・・・あぁ」

「だからかな・・・。お兄ちゃん、ごめんね。1人にしちゃう・・・」

「知奈・・・」

「本当は、私ももっと生きたいよ。沢山色んなことしたかったよ。お兄ちゃんとも色んなことしたかったよ。・・・・・・けど、もう手遅れになっちゃった・・・」

「知奈」


昔の僕/私は涙を流しながら言い続ける知奈のことを呼んで止めようとする。


景色が変わる。次は病院の個室だった。目の前には点滴を受けながら横になっている知奈。その脇には、千奈の手を握っている昔の僕/私。反対側の点滴側には医者がいる。


「おにぃ・・・ちゃん・・・」

「知奈・・・!」


もうすぐ亡くなるであろう知奈は、唯一残ってしまう身内の兄に声をかける。昔の僕/私は千奈のことを見上げる。


「1人に・・・なっても・・・・・・わたしの・・・好き・・・な・・・」

「やめろ・・・やめてくれ・・・・・・」

「お兄ちゃんで・・・いてね・・・?・・・楽しかったよ、お兄ちゃん・・・!」


───ピー!!!


感情を持たない機械が無機質な音で心音が止まったことを表した。


「・・・ご臨終です」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


昔の僕/私は慟哭する。


また、暗転する。次は何も無い、真っ暗な場所。


すると、目の前に黒い影のようなものが現れては僕/私に告げてくる。


「お前だけが生き残った。家族は皆死んだ。お前のせいだ」


ガツンと頭を、脳内を殴られた気がした。






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