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八十九話目



終業式前日の放課後。私はまた部室に来ていた。ほかのメンバーだと、私の他に幼馴染である千波弥と零夜。同学年の高等部2年からは亜未ちゃん、由理子ちゃん、癒音ちゃんが来ている。あと、唯一の後輩である癒音ちゃんの妹の璃空ちゃんがいる。他はみんな帰ったか、兼部している部活へと行っている。


今はもう書類関連も片付いているため、暇を持て余している。だからなのか、それぞれが特に何かすることなく話している。私も特にすることがないのでスマホを出しては弄っている。すると、零夜に声をかけられた。


「優月」

「どったの、零夜」


この場には私が女装していることを知っている人しかいないから零夜のことを呼び捨てにする。それと、いつもよりもフランクに。


「明日で学校終わるが・・・いつ言うつもりなんだ?」


零夜に聞かれた。多分言いたいのは職場体験が終わって、金曜日に話し合ったこと。部員のみんなには私が女装していることを伝えるというもの。零夜に聞かれたあと、癒音ちゃんもこっちに近づいてくる。


「なになに?なんの話なの?」

「琴吹・・・」


零夜が目配せをしてくる。教えるのか教えないのかっていう疑問なんだろうね、多分。私は零夜のことをチラッと見てから癒音ちゃんへと向く。


「私が女装してることをどうやって伝えようかなって話」


私が言うと、部屋の空気が張り詰めたのが分かった。特に亜未ちゃんと由理子ちゃん。二人は驚き、固まっている。私が応えると、璃空ちゃんも話に入ってきた。


「あれ?でも内緒に、秘密にしてるんじゃなかったんじゃ・・・」

「してるけど、もうこの部員の子達にはバラしてもいいかなって。この五年間見てきてそう思ったの。だからバラすつもり。ここの部員限定だけどね」

「そうなんですね・・・。でも急ですよね、何かきっかけがあったの?」

「この前の職場体験の時にここいるメンバーのほとんどにアレやコレを教えたから吹っ切れた!」

「それでいいんですか!?それで!」

「いいのいいの!私がいいと思ったんだから!」

「え〜・・・」


璃空ちゃんが少し引いたような目で見てくる。引くようなことかな!?ただただ吹っ切れたから教えて、ここでは素でいれるようにしたいだけなんだけどね!?


「言うのはいいとして・・・その言い方的にテスト前から決めてたのでしょう?なんでここまで伸ばしてるんですか・・・」

「由理子ちゃん、そんな目で見ないで。刺さる。で、言ってなかったのは単純にタイミングなかったのとテストがあって今の今まで忘れてた」


テヘペロといっふうに私は舌を出した。すると、勢いよく頭に二つ。手刀を入れられた。スパーンッといい音が鳴った。


「って、なにするの!?」


私はやってきた千波弥と零夜を睨みつける。まだ頭がヒリヒリする。そのため頭を抑えながら睨みつける。少し涙目。


「自分から言ったことなのに忘れないの」

「そうだ。それにこっちはいつ言うのか何も教えてくれなかったし、どうするのかハラハラしてたんだぞ。それを忘れてただとぉ?ふざけんな、バカ月」

「だ、誰がバカ月じゃい!」

「お前。それともアホの方が良かったか?」

「どっちもやだよ!それに叩くのもないでしょ!?」

「貴方にはこれくらいがちょうど良いでしょ」

「千波弥まで!?思った以上に私の扱い雑くない!?」

「「何を今更」」

「異口同音で返さないでよ!?」


私はウガーと二人につっかかる。二人は私の言葉に対してのらりくらりと躱すか、何処吹く風。私もそんな二人の様子を見て諦める。


「で、結局何時言うの?こういうのって早い方がいいでしょ。それに、丁度今は知ってる人しかいないんだし言えば?」

「まぁ・・・言うのなら夏合宿かなぁ。そもそも明日は部活休みにしてるし、夏合宿以外だとそもそもうちの部活は集まらないしで」

「それはまぁ、確かに・・・」

「だから夏合宿。ただ約1名反応が分からず怖い人が・・・」

「「水雫(ちゃん)だね/ですね」」

「・・・千波弥、零夜。どうやら二人も共通認識みたい」

「みたいだな。他は問題ないだろうが・・・鷲峯はなぁ・・・」

「水雫先輩?そんなに反応が分からないの?」

「うん。今のところ考えてる反応は3つ。普通に驚く。より距離が近くなる。または離れる。たいていどれかだけどあの子は本当によめない。懐かれたせいで」

「・・・その時の自分に投げましょう、もう。そうするのがいいと思うよ」

「そうするしかないよねぇ・・・」


私達、琴吹姉妹をのけて全員がため息をついた。琴吹姉妹はそんな私達のことを見てなんとも言えないような顔と目で、見つめていた。私達はその視線から逃げるように、見ないようにした。


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