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八十六話目


side癒音


私はお父さん達と一緒に広間で夕食を食べている。私の隣には璃空が。対面にはお父さん達が座って食べている。食べていると、隣の璃空から話しかけられた。


「そういえばお姉ちゃん。優月先輩、今回の体験で来ていたお友達に女装していること伝えたんだよね?」

「ゲホッ、ゲホッ・・・!ど、どこでその話を・・・?」


私は急に、私達しか知らないはずの話をぶち込まれてむせた。私は隣の璃空のことを見つめる。璃空はコロコロ笑いながら教えてくれる。


「零夜先輩から教えてもらったんだ。ついさっきのことだよ。零夜先輩からチャットが来て、私に優月先輩が女装してることを知ってるかって連絡が来たの。そのときに知ってることとどうしてそんなことを聞いてきたのか聞いたら、優月先輩が体験に来ていた班のメンバーに言ったってことを教えてくれたんだ。だから私も知ってるの」

「そ、そうなんだね・・・」


蒼乃くん・・・。なんで伝えてるの・・・。確かに幼馴染だから伝わるとは思ってたけど璃空に伝わるとは思って無かったんだけど。ていうか、いつの間に連絡先、交換してたの・・・。それに璃空が個人の方の連絡先渡すのって珍しいし。零夜くん、璃空になにしてそうなったの・・・。


「璃空・・・貴方・・・」

「?お母さん、どうかしたの?」

「・・・いえ、なんでもないわ」


お母さんはさっきの璃空の顔を見て何か言いたそうにしたけど止めた。私もさっきの璃空の顔を見て思ったことがある。多分お母さんも気づいてる。まぁ、璃空に自覚があるかは分からないけど。・・・春だね。


「ていうかどうして判明させることになったの?」

「あ~・・・うん、それはね、原因は東野さん」

「うん、分かった。確かにあの人と一緒だね。何か通じる者でもあったのかな・・・」

「多分ね。そこからバラすしかなくなっちゃったって感じかな」

「なるほどね。どうするんだろうね、これから。学校で隠すのは当たり前として誰かに言ったりするのかな?」

「さぁね。それは優月くんが決めるからなにも言えないでしょ」

「それもそっか」


私達は食べ終えて、談笑を始める。お父さんもお母さんもまじって話す。話していると、話題は今週の各部署での反応。入ってほしいかどうかの。


「にしても優月くんには驚かされたね。あの子、事務というか僕の後釜としてほしくなったね」

「そんなに?」

「だって僕と同じくらいのスピードなんだよ?癒音か璃空に継がせるとしてもまだ少し時間かかってるでしょ?初めてであの速さなら居てほしいと思うのは仕方なくない?それこ、癒音か璃空と付き合ってくれたらありがたいんだけどね」

「お父さん!?何言ってるの!?」

「そのことで思い出した。お姉ちゃん、優月先輩のこと好きなの?」

「璃空まで急にどうしたの!?」

「あ、それお母さんも気になるわ」

「へっ!?」


お父さんからの願望が璃空とお母さんにも移っちゃった。なんでそんな話になるの!?というかなんで私が優月くんを好きだなんて・・・。


「なんでそんな話になるの!?」

「気になったからよ。それに、癒音。できる限り優月くんといたって報告を受けたわよ。なんなら一部の子からは女の子の顔してたって」

「へぁ!?うっそ!?」

「私から見ても分かるくらいだったわよ。好きなら付き合っちゃいなさいよ」

「向こうは人間不信なんだよ!?それに・・・好きなのは私だけじゃないし・・・」

「あら?あの子モテるのね」

「さぁ?けど、後輩の子からはなつかれてたよ。それに千波弥ちゃんも好きみたいだし・・・。一歩引いてるみたいだけど」

「ならチャンスじゃない。ていうかそんなことを言うってことは好きなことは認めるのね」

「・・・うん。多分好きだよ。でもやるからには公平にいきたいの。それに・・・まだ信じられてる気がしないから」

「それなら何も言わないわよ」


璃空もお母さんもそれ以上は聞いてこなくなった。といってもお母さんはターゲットを変えただけだけど。


「璃空はどうなの?その先輩とやらは」

「?優しい先輩だよ?なんで?」

「あぁ・・・これは・・・」

「うん・・・これ自覚無いやつだ・・・」

「?なんの?」

「・・・なんでもないよ」


私はお母さんと見合って頷く。この子にこの話題を投げるのはやめておこうと。自分で気づかせようと私達はその話は終わらせた。お父さんは流石にこの話に入ってこれないからずっと黙ってるままだった。



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