八十話目
私達は午前の業務を終えて、東野さんと一緒に食堂に来ている。誰も知らない人からみたらどう見えるんだろうね、私達。
「にしても、この前は驚いたわね。急に雰囲気が変わるのだから」
「その節はすみませんでした。つい普段のがでてしまって・・・」
「別にいいわよ。驚いただけだからね」
「・・・ありがとうございます」
「まぁ、その翌日が特に酷かったんだけどね・・・」
私が東野さんにお礼を言っていると、癒音ちゃんがボヤいた。そのボヤいた言葉に東野さんが食いついた。
「昨日?あの後何かあったの?」
「色々ありましたよ〜。優月ちゃんのせいでみんなの雰囲気は悪くなるし、驚くことが多かったしで・・・」
「・・・なにがあったの。昨日だけで」
「優月ちゃんが、優月ちゃんのことについて色々と教えてくれたんだ。でも、その内容が中々に重くてね・・・」
「・・・ホントに何をしたのよ、あなた・・・」
呆れたような、心配そうな、目と声で私を見てきた。私はソーッと目線をそらす。癒音ちゃんがねーっと言いながらジト目で私のことを見つめている。
「東野さん、東野さん、聞いてくださいよー」
「はいはい、どうしたの?」
「血を見て落ち着いたり、自殺してるんですよ?今でもリスカしてるとか言ってるし・・・」
「え?血?それにリスカって・・・。それと、血ってあの血?私達の体にある赤黒い・・・」
「そうだよ。その血を見て落ち着くんだよ、この子。しかもヤバいとかいう自覚がないんだよ?相当感性がズレてるんだよ・・・」
「たちが悪いわね・・・」
「ホントにね・・・」
2人は揃ってため息をついた。私はため息をつかれた意味が分からず首を傾げる。私が首を傾げたのを見て、2人は肩を竦めた。
「こういうこと・・・」
「なるほどね・・・。これは確かに中々のようね・・・。癒音ちゃんも苦労するわね・・・」
「あ、アハハ・・・。とはいっても私だけじゃなさそうなんだけどね。でもその子のこと見てると、どうやら鈍感なようで・・・」
「その子も、貴方も苦労するわね、ホント・・・」
「・・・何を言ってるの?」
「なんでもないよ、うん。なんでもない」
私は疑問符で頭の中がいっぱいになる。癒音ちゃんは私には隠すようにして誤魔化された。東野さんには分かってるみたいだけど。
「なら良いんだけど・・・」
「それで、昨日はしたわけ?」
「してないよ。ただでさえ、千波弥と零夜が家にいたんだしできないよ」
「居なかったら?」
私はソッと目を伏せる。癒音ちゃんからの視線が痛い・・・。
「図星みたいだね。分かってるの?心配されてること」
「分かってる・・・。けど、でもね、やっぱりやっちゃうの。それでも」
「まぁ月に何度かしてた自殺未遂の件があるからねぇ。正直、優月ちゃんに対してそっち方面での信用はないの」
「うっ・・・」
「何度も自殺未遂って・・・相当追い詰められてるじゃない・・・」
「うぐっ・・・」
癒音ちゃんと東野さんの言葉が胸に突き刺さる。心配されてることも、信用されないことも仕方ないし、追い詰められてたのも事実。だからこそ、胸に突き刺さる。私は机に突っ伏した。
「善処しまーす・・・」
「絶対直さないでしょ、それ」
「だってぇ・・・」
「だってとかじゃないの。心配されてることに気づきなよ」
「気づいてるよ。でも今更止めれないんだって。癖になっちゃって・・・」
「・・・・・・一言言わせて。馬鹿なの?」
「ま、まぁまぁ癒音ちゃん、そこまでにね?流石に可哀想よ」
「・・・東野さんがいうのなら」
癒音ちゃんは私に問い詰めるのをやめてくれた。思った以上に言われたことが否定できない。心配してくれる人がいることも、止めてくれる人がいるのも知ってるけど、もうやらないとヤバい状態なんだよね・・・。
しかも、これって自分を保つためにしてるからもうほんとやめれそうにない。一応、零夜や千波弥からは止められてるけど・・・。ほとんど効果ないんだよね。
「とりあえずは辞める努力はしてよ?」
「それはもちろん。なんなら今もしてる。けど、効果無いんだよね、これが」
「ダメじゃん・・・」
「言わないで・・・。私が1番分かってるんだから・・・」
「どうにかしようね、いつか」
私は小さく頷いて返す。
「さてと、そろそろ私達は出ましょうか。2人はどうする?休憩室に向かう?」
「そうする予定ですけど・・・どうかしましたか?」
「いえ、少し気になっただけよ。それと私は先に戻るから時間が近づいてきたら戻ってきてちょうだい」
「分かりました」
「それじゃあ午後からも頼んだわよ、2人とも」
「はい」
私は返事を返した。返事を返したあと、私達はトレイを持って立ち上がって返しに向かう。返したあとは食堂からでて、私達は東野さんと別れた。




