七十九話目
「歩きながら軽く説明するよ。とはいっても・・・」
彼は一瞬だけ、私達がいる後ろを見た。正確には私じゃなくて癒音ちゃんの方だけど。多分、よく来てるから知ってるってことなんだろうね。
「癒音ちゃんは知ってるだろうけどね。よくこっちに来てるし」
「そうだね・・・。結構お世話になってるね」
「こっちからしたら助かってる部分もあるんだけどね。人手が足りない時がたまにあるし」
「それに、私はここに1番来てるから・・・」
「そうなの?」
「うん。私は事務作業よりもこっちの、体を動かす方があってるみたいだからこっちによく来てるんだ。たまに受付とか、事務とかも行くけど頻度はここと比べたら圧倒的に低いよ」
「へー・・・」
私が感心の声をあげると、癒音ちゃんはジト目で見てきた。私はなんでそんな目をするのか分からず首を傾げる。
「聞いてきてその反応は流石に酷くない?」
「でも、それ以上ないんだし・・・」
「まぁまぁ。それよりも説明していいかな?癒音ちゃんは分かってるとは思うけど一応聞いておいて。復習と思ってたらいいよ」
「あ、お願いします」
私は癒音ちゃんから視線を離して、彼のことを見る。彼は苦笑いしながら私達のことを見ていた。
「簡単に言うと、トラックの荷物を下ろすのとトラックに荷物を載せる作業だよ。確か聞いた話だと2人は荷物の受け取りをしたんだよね?」
「そうだよ。といってもぎこちなかったんだけどね」
「仕方ないんじゃない?だって2人だけだったんでしょ?しかも最初は誰もいなかったみたいだし。勝手に動かす訳にはいかなかったんだからね」
「そう言ってもらえると助かります」
私はお礼を告げる。彼はバツが悪そうに頭をかいた。そして、私達の方に向く。
「あれはこっちも悪いからね。知ってたのに遅れたのはこっちだし。東野さんからも言われてたんだけどね」
「ですけど・・・」
「はいはい。そこまでにしといてよ、2人とも。それと続き」
「・・・そうだね。荷物の場所はなんとなくわかった?」
私は頷く。事務のところにもあった、用品コーナーで分けられてる配置図みたいなのを見ていたから。そこを見たから一応の配置は覚えた。
「これも人によるんだけどね?各場所の名前を言う人やA1やA2みたいな感じでも区分わけしてるからそっちで呼ぶこともあるから気をつけて。A1とかの方は大丈夫?」
「多分、問題ないです」
私が彼にそう答えると、癒音ちゃんに肩を叩かれた。
「優月ちゃん、優月ちゃん、はい、これ」
癒音ちゃんは私にスマホを見せてくる。画面の中にはここの配置図の写真が映っていた。
「覚えて。それか送るから。どっちがいい?」
「あ、それなら送ってよ。癒音ちゃん、私の個人のやつ持ってるでしょ」
「わかった。少し待って」
癒音ちゃんはスマホを操作して、私に送ってくる。ポケットに入っているスマホが振動した。
「ありがとう。それと・・・その、これって今更ですけど送っても大丈夫なやつなんですか?」
「あー、まぁいいよ。どうせ見られても問題無いやつだし。金庫とかそういうのはないし、防犯もしっかりしてるから」
「そ、そうですか・・・」
私は苦笑気味に答える。私達は、説明を終えたところでタイミング良く、荷物の受け取りや載せる場所についた。
「どっちに行く?荷物を下ろすか、載せていくのとで」
「私はどっちでもいいよ。優月ちゃんに合わせるから」
「えー。それ困るんだけど・・・。それなら人手が足りてない方で」
「それなら今日は載せる側だね」
私達は彼の後を追ってトラックの指示を出している人の方に向かっていく。彼は私達を連れてその人のもとに行き伝える。
「人手が少ない方とのことで、こちらに連れてきました」
「そうか。説明はしたのか?」
「軽く、ざっくりとは。場所と、人によって場所の伝え方が違うと」
「なら問題ないな。それじゃあ、早速だが頼むよ。2人とも」
「分かりました。よろしくお願いします」
「あぁ。それじゃあ、お前も仕事につけ。こっちは指示を出していく」
「では、お願いします」
「あぁ。早速だが、2人にはB3に行って欲しい。そこに行けばその場所の担当者が何を持っていけばいいか教える手筈だからな」
私達は返事を返して言われた場所に向かっていく。B3なら日用品の位置だね。私達は言われたB3の日用品の場所に向かう。向かうと指示を出している女性の人がいた。彼女は私達を一目見て指示を出した。
「貴方達には割れ物・・・もとい、食器やグラスを持っていって。商品番号は83と97番よ。癒音なら分かるでしょ?分からないなら癒音が教えなさい」
「はーい。それじゃあ優月ちゃん、取りに行くよ」
「う、うん」
私は癒音ちゃんに連れられて置いてある場所に向かう。とはいっても、私もちゃんと全部の場所を覚えてれてないから着いてくだけなんだけどね。
「83と97・・・83と97・・・っと、あった!優月ちゃん、これとこれだよ」
「グラスと食器・・・うん、あってそうだね。どっちがどっちを持つ?」
「私が食器の箱を持つから優月ちゃんはグラスの方をお願い」
「分かった」
私達は棚から箱を取り出す。割れ物注意のシールが貼られていて、私達は落とさないように気をつけながらさっきの場所に戻る。
「これどこ置けばいいー?」
「トラックの手前にあるブルーシートに置いておけ!置いたら次はC1に向かってくれ!」
「分かったー!」
癒音ちゃんがさっきあの場所にいくように指示を出した人に大声で聞いた。向こうも返してきて、次の指示も纏めて言った。私達は荷物を置いてから、次の場所に小走りで向かい始めた。




