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七十七話目




職場体験3日目。私達は昨日、どこの担当で働きたいかを伝えた。今日はその希望通りの場所に別れている。私が選んだのは、この会社の根幹の部署。荷物の受け取り、配送を行う、東野さんが事業部長のところを選んだ。


私と一緒なのは癒音ちゃん。他の皆もそれぞれ希望した所へ配属されている。由理子ちゃんは事務、亜未ちゃんはアクセサリーのところ、千波弥は受付にしていた。私は癒音ちゃんと一緒に選んだところに向かっている。


私がここを選んだ理由としては、まだ他の部署の人たちよりも東野さんのことが信じられらるから。私と一緒で女装しているっていうのもあるし、なんとなくだけど理解してくれてそうだから。あとは、久しぶりに信用できそうだと直感が告げているから。


私達は入り口にやってきて、扉をノックする。癒音ちゃんが前と同じようにノックしたあとすぐに中に入っていった。私は癒音ちゃんのあとに続いて入って行く。中に入ると、東野さんがあきれた様子で癒音ちゃんのことを見つめていた。


「せめて少しは待ちなさいよ。返事なく入らないの。いくら引き継ぐだろうとしてもそこはしっかりしなさい」

「は~い。ごめんなさ~い・・・」

「基本は伸ばさない。いつも言ってるでしょ?」

「え、え~と・・・?」


私が困惑しているのを見た東野さんが、今気づいたように声をかけてくる。


「確か、音坂ちゃんよね。私と同じ子」

「その言い方はやめてくれませんか?確かに同じで同類だと、私も思ってますけど流石にちゃんと名前で呼んでください」

「分かってるわよ。何かあったら相談しなさい。これでも貴方より長くこの格好をしているのだからね」

「・・・ありがとうございます」

「いいのよ。案外しがらみが多いと思うしね。私がそうだったからそういう認識だけどあってるかしら?」


東野さんは、彼女の経験に基づいて聞いてくる。私もしているから言いたいことは分かる。特に入ったときの教師の反応がまさにそうだったから。生徒、それこそ癒音ちゃん達には昨日初めて伝えたからそこまでだけど。


「否定はしませんよ」

「え?でも優月ちゃん学校では皆に知らむぐぐぐぐぐ!?」


私は咄嗟に癒音ちゃんの口を後ろから塞ぐ。正直、未だ千波弥達以外の女子とこんなことするのは慣れないけど、内緒にしていることを目の前で言われそうになって止めないわけにはいかないから。私は癒音ちゃんの耳元で小さく耳打ちする。


「内緒にしてるんだから言わないで」


癒音ちゃんは小さく頷いた。私はそれを確認して、彼女の口から手を離した。どうやら私は彼女の鼻も押さえていたようで、息を切らしている。東野さんがそんな癒音ちゃんを心配して声をかける同時に、さっきの言いかけたことについて聞く。


「癒音ちゃん大丈夫かしら?それにさっき言いかけたのは・・・」

「だ、大丈夫です。言いかけたことは・・・はい、勘違いでした」

「そう?ならいいんだけど・・・。音坂ちゃんはあまりああいうのはやらない方がいいわよ・・・?ただでさえ、ここの会社は癒音ちゃんの親がしてるんだから・・・」

「あ、大丈夫です。私のことで不利益なことがあればこうやって止めていいって理音さんと桜空さんから許可をもらってますので」

「そ、そうなのね・・・」

「いつそんな許可取ったの!?」


私が東野さんに注意されると、既に許可は取っていることを伝えた。すると、癒音ちゃんが驚いて、私につめてくる。癒音ちゃんは私の肩をつかんで揺さぶってくる。急すぎて対応ができずに頭を前後に揺らされる。


「少し前にぃぃ・・・。さっき呼ばれたときにぃ」

「なんで!?なんで!?」

「理音さん達もこうなると思ってたんじゃない?それとそろそろやめて。酔う・・・」


私がそういうと、癒音ちゃんは揺さぶるのを止めてくれた。私は机に手をつける。少し世界が揺れている。私がそんな状態だから、癒音ちゃんが申し訳なさそうに見つめてくる。それと同時に謝ってくる。


「ご、ごめんね」

「う、うん。大丈夫・・・。伝えてなかった私も悪いから・・・」

「お互い様と言うことでいいんじゃないかしら?そうじゃないとあなた達、お互いに綾余るでしょう」

「・・・うん、お互い様だね」

「そうだね」


お互いに謝ろうとしたところで、東野さんに止められた。お互いのことを少し知ったからかなのか、謝ろうとしたのに気づいたのか妥協案を出してきた。私達はそれに納得して、謝ろうとするのはやめた。


「それじゃあ、今日から三日間はよろしくね」

「よろしくお願いします!ってあれ?癒音ちゃんは言わないの?」

「・・・する意味あるのかな?一応するけど。よろしくお願いします」


癒音ちゃんは渋々と言った様子で東野さんに挨拶していた。東野さんは私達の言葉に頷居ていた。


「それじゃあ、まずは今日居る人達に挨拶しに行くわよ」

「分かりました!」


癒音ちゃんは返事を返すのではなく頷いて返した。東野さんが歩き始めたため、癒音ちゃんと一緒にあとをついていく。






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