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七十五話目




取り掛かってから少し経って、私は亜未ちゃんに声をかけられた。


「優月・・・速くない?」

「そう?普通だと思うけど・・・」

「いやいやいや!そんな速度で普通やれないからね!?速さおかしいよ!?」


私はだいたい数秒に1枚のスピードで、問題あるやつとないやつを分けている。千波弥はいつもの事だと思ってスルーしてるけど、亜未ちゃんが言うには私の速度は速いみたい。


「・・・お父さん達から見たらどうなの?」

「多分、理音と同じ・・・くらいかしら?実際どうなの?」

「僕と同じくらいだと思うよ。僕もあれくらいの速さで片付けるし。宮葉、間違いは無い感じ?」


宮葉さんは私達が見ていった書類を確認している。それぞれ、皆が別々の場所に纏めているからその束を取っては確認を繰り返している。先程、私の束が終わって今は由理子ちゃんの束を見ている。確認していた宮葉さんは顔を上げて、理音さんのことを見つめる。


「私が見た限りでは間違いはなかったですね。強いてあげるのなら一部、問題ない方の書類に誤字のが入ってたくらいです。とはいえ、意味が理解できるので理音様方もそこは無視していますが」

「耳が痛い話だね。それはともかく・・・ほとんど僕と同じだね。正確さも速さも。何かしてたのかい?」


私は確認していた書類を、合っている方に置いて顔をあげる。そして、理音さんがいる机の方を見る。


「多分、マルチタスクと速読かと思います。やろうと思えば、もう少し負荷をかけられても問題無いです。今やれることと言えば、この会話を議事録のように作成することも可能ですよ」

「本当にいつの間にか身につけてましたからね・・・。速読も、マルチタスクも。ほっておいたら別のことしてること多いですし。私達からしたら困ったものですよ・・・」

「あ、アハハ。そ、そうなんだね・・・」


理音さんが苦笑いしながら、千波弥のことを見た。


「慣れもありますけどね〜・・・。こればっかりは。速読は本を読んでますし勝手に身に付きましたね。そのせいか、書類とかもパーッと読めますし」

「だとしても、誤字脱字を見逃していいんですか?」

「さぁ?意味が分かればいいって判断で仕分けたからね。ちゃんとダメだと思うやつや違和感があるやつはそっちに纏めてるし」


十枚程を重ねた束を指さしながら言う。

こっちは流石に許可したらダメでしょっと思ったり意味が理解できない、伝わらないものを纏めている。私でこれなんだから理音さんでも許可しない気がするけど。


桜空さんがその書類をとって軽く目を通す。すると、コメカミを抑えて理音さんに渡した。


「本当によくできてる子よ。あの子。理音もこれらの書類見て」


理音さんもその紙にパパっと目を通していく。十枚ほどしかなかったからあっという間に見終えた。けど、理音さんも桜空さんと同じようにため息をついた。


「なんでこれが通ると思ったんだろうね。意味が理解できないのが何個かあるし。音坂さんが理解できないからこうやって分けたのも理解できるよ。流石に承諾できないね。これらは」

「そんなに酷かったの?お父さん」

「見たいなら見ていいよ。多分、何をしたいのか理解できないから」


理音さんが私達の机のところにその紙を置いた。私を除いた四人がその紙を読む。四人は読み切ったのか、ソファーに改めて腰を下ろした。


「どうだった?」

「なにこれ・・・。お父さんの言うことがよく分かったよ・・・」

「どの会社でもこれでは承諾できないんじゃないですか?」

「めんどくさかったのかな?なんというか、雑。中身がない感じ」

「そうね。送っておけ精神だったんですかね?」

「さぁ?それは分からないけどたまにこういうのもあるから困るんだよね・・・」


理音さんは苦笑い。それと同時に少し遠い目をしている感じがする。


「あ、話は変わるけど、音坂さん。うち来ない?」

「・・・・・・はい?」

「あれ?聞こえなかった?うちの会社入らない?」

「え?いや、聞こえてましたけど・・・」


私は一瞬、言われたことが理解できなかった。急にスカウトを受けたのだから自然だよね。突拍子もなく言われたから、脳が理解するのを拒んだ。


「それだけ今の時点でできるのなら来て欲しいって思ったんだ。秘書あたりかそこらとして」

「はいぃ?何を言ってるんですか・・・?」

「いや、娘のどっちかに継がせようと考えてるんだけどまだ僕のような速度じゃできてなくてね。それなら秘書あたりについてもらってサポートしてもらおうかと」

「・・・とりあえず保留で。流石に今すぐどうこうって決めれないので」

「それだけでもありがたいよ。まぁ選択肢として考えといて」

「はい・・・」


私はまだ困惑しながらも、保留にすることにした。その時の理音さんの表情は、勝ったといった感じだった。私だけじゃなくて、四人も目の前でスカウトされたから驚いている。


その日は、それが大きな出来事として記憶に残り、それ以降の記憶があまりなかった。







本日も数あるWeb小説の中から私の作品を読んでくれてありがとうございます!これからも週2投稿を掲げて頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします!


よろしければ是非、下の評価マークを☆☆☆☆☆➞★★★★★にしてください!


では次回の話しでお会いしましょう!

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