七十話目
私達はその後、何事も無く事務の方を進めていた。すると、いつの間にか時間になっていたようで、宮葉さんと亜未ちゃん達がここに来ていた。
「どうやら時間のようやな」
私達はその言葉に顔を上げた。目の前には亜未ちゃん達がいて驚いた。私達は椅子から立ち上がる。
「それでは、藤宗様。今度はこちらの二名をお願いします。私は彼女たちを連れて行きますので」
「おう。分った。それじゃあ、三人とも次のところでも真面目にな」
「「はい!」」
私と千波弥は同時に返事を返した。癒音ちゃんは頷いて返した。藤宗さんはをそれを見て、深く頷いたあと、亜未ちゃんと由理子ちゃんの方に振り返った。宮葉さんは私達のことを見る。
「それでは受付の方に向かいましょう」
「分りました」
私が返事を返した。宮葉さんは廊下に出て行く。私達もあとに続いて廊下に出た。長い直線にの通路を通っていく。通路を出て、最初に入ってきた大きいホールに来た。階段を降りて、受付に向かう。
「宮葉、次はその三人かしら?」
「はい。お任せします」
「分ったわ。宮葉はどうするの?」
「理音様に呼ばれているためそちらに向かいます。また、時間になりましたら来ますので」
「オッケーよ。それじゃあ、あとは任せてね」
「では、私はこれで」
「えぇ」
宮葉さんは彼女に私達のことを任せて足早に帰って行った。私達は見送ったあと、受付で宮葉さんと受け答えしていた人を見る。受付だからか、平均の年齢層はパッと見だと若く見えた。私達は礼をする。
「お願いします」
「えぇ。任せてよ。と、いってもあまりすることないんだけどね」
「えっ?」
千波弥が呆けた声を出して、相手のことを見た。彼女は苦笑いしながら教えてくれる。
「私は日高。下の名前はいいと思うから割愛。日高さんでも日高ちゃんでも何でもよんでね」
「わ、分りました!」
「いい返事!それじゃあここの説明するけど・・・。ここですることは人が来たら許可証とか発行するだけなんだ。だからあまりすることは無いね」
「えっ・・・」
「だからスマホがあるなら触っててもいいよ。人が来たら分るしね。私も触ってるし。他にもしゃべっていてもいいからね。ホントに人が来ない間は自由だから・・・」
日高さんは受付の中に私達を迎え入れながら教えてくれる。彼女は受付の椅子に座ってスマホをカウンターの上に出した。
「なんでも聞いていいよ。暇だからね。さっきの子達もそれぞれ自由に過ごしてたし」
「そ、そうなんですね」
「それじゃあ、日高ちゃん。話そー!」
「ち、ちょっと癒音ちゃん・・・!?」
「別にいいよ、いいよ。これはいつものことだし」
「そうなんですか・・・?」
「うん。癒音はよく私と話しているからね」
彼女はそう教えてくれる。私が止めようとしたときも、彼女は止めなくていいって私のことを止めたから。私は渋々引き下がった。癒音ちゃんは日高さんの隣に座った。日高さんは隣に座った癒音ちゃんには
「それに私からしたら癒音は可愛い妹のようなものだからね」
「日高ちゃん、そんなこと思ってたの!?」
「あぁ・・・なんとなく分ります」
「千波弥ちゃん!?」
「い、今のを見たらさすがにね・・・」
「優月ちゃんまで!?」
癒音ちゃんが裏切られたみたいな顔で私達のことを見てくる。けど、私達からしたら今の癒音ちゃんは甘えているようにしか見えなかったんだよね・・・。
すると、癒音ちゃんが椅子から降りて私の方に歩いてくる。日高さんは急に動き始めた癒音ちゃんのことを不思議そうに見つめている。
嫌な予感がする・・・。
「い、癒音ちゃん?どうしてこっちに向かってきてるの?その手は何!?」
「う~ん・・・内緒。でも、優月ちゃんにちょ~っとしたいことがね」
「ほ、ホントに何する気!?」
癒音ちゃんは手の指を動かしながら私に近づいてくる。隣に居た千波弥はいつの間にか、日高さんの方へと移動している。助けを求めて千波弥のことを見たけど、千波弥は目を逸らした。
「覚悟してよ、優月ちゃん」
「ねぇ!?ホントに何する気なの!?」
「こうするだけだよ」
「え?ひゃっ!?ち、ちょっと・・・そこはっ・・・弱いから・・・!さ、触らないでッ・・・!」
「ほらほら、笑っていいんだよ?耐えなくていいんだよ?」
「だ、だめぇ・・・!横は弱いからぁ!」
私は耐えきれなくなって笑い始める。癒音ちゃんがしてきたのは脇をこしょばせること。私はそういうのにめっぽう弱く、床に倒れ込む。しかも、的確に弱いところをついてくるからより笑いが止まらない。
「や、やめっ・・・だ、だめだからぁ・・・!」
「こんなところでいいかな」
「ハァハァ・・・・・・」
息が荒い。私は癒音ちゃんのことをジト目で見つめる。癒音ちゃんはサッと目を逸らした。
「千波弥ちゃんが教えたの?」
「・・・ごめんなさい」
「ハァ・・・次からはやめて。ホントにダメだから」
「仕方ないなぁ」
私はやれやれといった風に答えた、癒音ちゃんのことを睨んだ。やってきた張本人のくせに。




