六十八話目
「・・・何かあった?」
社長室に入って、理音さんの第一声がそれだった。心配するような声色で聞いた。私達の雰囲気が昨日と違うことに気づいたみたい。
「少しだけ車の中でね」
「そうなのね。・・・やれる?」
「問題ないです。そうよね、みんな?」
千波弥の言葉に私達は頷く。桜空さんは私達が頷いたのを確認して、座るように促した。私達はソファーに座る。座ったら、昨日と同じで宮葉さんが飲み物と、紙を私達の前に置いた。
「それはともかく今日の予定なんだけど、午前中は受付と事務を試してもらおうと思ってるんだ」
私達は紙を見る。紙には、午前中の予定が書かれてあった。確かに午前中は受付と事務の体験となっている。けど、一つだけ。理音さんが言ってないことが書かれてあった。
それは、2班に分かれることだ。受付と事務で3人と2人に分かれて時間になったら交代するようになっている。
「紙をみたようだね。そこに書かれてる通り、3人と2人に分かれて行って欲しいんだ。どう組むかはそっちで決めていいからね」
「決まったら宮葉に伝えてね。そしたら、宮葉が案内してくれるから」
私達は宮葉さんの方を見る。宮葉さんは私達に一礼する。私達はお互いに顔を見合わせてどう別れるか話し合う。
「さて、どう分かれる?」
「それなら、亜美ちゃん。私と組みませんか?」
「へ?あ、うん!」
「ですので、そちらの3人で組んでください」
由理子ちゃんが亜美ちゃんに告げた。亜美ちゃんは驚いた声をあげつつも、すぐに頷いた。由理子ちゃんは、私達に提案した。亜美ちゃんが何か言いそうだったけど、由理子ちゃんに何か言われて口を閉じた。
「いいの?」
「えぇ。流石に、さっきの話を聞いて私はまだ整理ができていませんので・・・。でも、癒音ちゃんは問題ないと判断したのでそうしてもらうべきだと思いましたわ。千波弥ちゃんはそもそも、幼馴染ですしね」
「そっか。なら、それでいこう」
「それじゃあ言いに行くねー」
癒音ちゃんがソファーから立ち上がって、宮葉さんのもとに向かっていった。私はカップの紅茶を口につける。すぐに移動するだろうから、飲んでおく必要があった。
癒音ちゃんが宮葉さんを連れて戻ってくる。宮葉さんは私達に声をかけてくる。
「どうやら決まったようですね。それでは、ご案内致します。先に事務の方に向かいます。では、着いてきてください。理音様、桜空様。失礼します」
「あぁ。あとは頼んだよ」
「任せたわ、宮葉」
宮葉さんは理音さん達に礼をしてから、廊下に出た。私達も後ろについて廊下に出る。来た道を戻っていって事務室に向かう。
「まずは事務に向かいます。紙にも書いていました通り、3人。つまりは、癒音様、音坂様、越智様は事務の体験となっております。残りの2名、天音様と時雨様は受付の方になっております」
宮葉さんは説明しながら進んでいく。男の人だから、少し早く感じて、私達は小走りでついていってる。
「天音様と時雨様はこちらで待っていてください。癒音様、音坂様、越智様は私についてきてください」
宮葉さんは事務室の扉を開けて中に入っていく。私達もあとに続いて中に入る。中に入ると、何人かの視線が私達に向いた。
「藤宗様はいらっしゃいますか?」
「ここにおるで」
宮葉さんがオフィスに声をかけたら、少し奥で男の人の声が聞こえた。そっちの方を見てると手を挙げている男性がいた。その人はこちらに歩いてくる。
「なるほど、先に来たのはこの3人か。うち1人は社長の娘とみた」
「肩書きはどうでもいいでしょ、藤宗さん」
「悪い悪い。でも、覚えやすいんだから仕方ないだろ。な、ご令嬢」
「それで呼ばないでよ・・・。なんでここの何人かは私達のことをそうやって呼ぶのかなぁ・・・」
「反応を楽しんでますから。んで、宮葉さん。まず先にこの3人か?」
「えぇ。あとはお願いします。藤宗様」
「おう。任せな。・・・どうやらまだ行くところがありそうだしな」
「えぇ。では、私はこれで。また迎えに参ります」
「分かった」
宮葉さんは私達のことを藤宗さんに任せて、廊下に出ていった。廊下に出た宮葉さんは亜美ちゃん達を連れて進んで行った。
「それじゃあ、軽く説明しておくぞ。ここでやってもらいたいのは、四国の支部から集めたお金の流れだ。前月のと比較しておかしくないかを見て欲しい。お前たちが見て、不思議に思ったのなら俺に言ってこい。いいな?」
「「「はい」」」
「うし、それじゃあ席に案内するからついてこいよ」
藤宗さんはオフィスを進んでいく。私達も他の人の邪魔にならないように、藤宗さんのあとを着いてオフィス内を進んでいく。




